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旅と日々 / この本を盗む者は



--- 旅と日々 ---


旅と日々

公開時、見に行くのをためらっているうちに終了してしまった映画である。

最近キネマ旬報のベストテンが発表され、本作が日本映画の第一位と主演女優賞を受賞した。それを記念してキネマ旬報シアターで今週一週間上映されることになった。この機会を逃したら当分映画館では見られないと、柏のキネマ旬報シアターに行ってきた。

映画は二部構成になっている。「夏の海」編と「冬の庄内」編である。

本作の原作はつげ義春の「海辺の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」である。前者が「夏の海」編、後者が「冬の庄内」編となっている。映画では前者は脚本家(シム・ウンギョン)が書いたシナリオによる映画で、後者は脚本家が冬の庄内地方に旅に出る、という話になっている。

「夏の海」編では風になびいて揺れる河合優実のスカートが、「冬の庄内」編では雪の中にたたずむシム・ウンギョンの姿がつげ義春の描いた主人公の姿にそっくりだったことが印象に残った。

セリフが少なく、映像で表現するタイプで、どちらかといえば苦手なタイプの映画であった。

(2026.2.19)



--- この本を盗む者は ---


この本を盗む者は

原作は何度も直木賞候補になっている深緑野分。彼女は「オーブランの少女」「戦場のコックたち」「ベルリンは晴れているか」など何冊かの魅力的な本を書いている。

本映画はファンタジーである。岡山あたりの地方都市の旧家。主人公の曽祖父が大量の本を保管していて、街の人に開放していた。私設図書館である。その娘である祖母はそれを相続した。祖母は本を厳格に管理していた。ある時、何冊かの本が盗まれた。それを契機に祖母は施設図書館を閉鎖した。そして今後本が盗まれたら、街全体を別の世界に変えてしまうという、呪いをかけて亡くなった。施設図書館を相続した父親は祖母の方針を受け継ぎ、厳重に閉鎖している。

という設定から物語は始まる。

この本を盗む者は

登場人物は図書館の本を読んでいるか、昼寝しているか、のどちらかしかしない叔母。 主人公の女子高生。入院中の父親。不思議な少女ましろ。

ある日主人公が図書館に入ってみると、何冊かの本が盗まれているのを発見する。大変だ。祖母の呪いが発動する。

物語は現実ともう一つの世界、パラレル・ワールドを行ったり来たりして展開してゆく。

女子高生が暮らしている街の風景、図書館の中の様子はリアルで魅力的であった。ファンタジックな風景は想像力がいまいち足りない。この場面は描きようによってはもっと魅力的になったはずである。

(2026.1.9)


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