2025年
 
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--- 夜の大捜査線(BS-1) --- |
原題は「In the Heat of the Night (夜の熱気の中で)」。原作はジョン・ボールの同名の小説である。 映画は1967年公開でその直後に見ているから、おおよそ60年ぶりの視聴となる。見たのは10代の頃であるから、当然今とは理解力が違う。 当時、アカデミー主演男優賞を受賞したのがなぜ刑事ヴァージル・ティッブスを演じたシドニー・ポワチエではなく、警察署長を演じたロッド・スタイガーなのか疑問だった。人種差別なのではないかと思った。今回見たら疑問の余地なくロッド・スタイガーだろうと思った。黒人差別をする方の立場でありながら、白人社会では落ちこぼれで街の有力者たちから軽く見られている警察署長の複雑な内面をスタイガーは見事に演じていた。 それに対してシドニー・ポワチエは、アメリカ南部という黒人差別の激しい地域で行動する正義感あふれる黒人の刑事をそのまま演じただけのように見えた。 映画は差別する側の社会の格差が、差別される側への共感に変化する微妙な心理を描いていた。これは原作にはない思想で、本作がアカデミー作品賞と脚色賞を受賞したのは納得できる。映画は原作からアイデアは使用するが、原作とは別物であるという良い例である。 共演者に「ワイルドバンチ」「ガルシアの首」のウォーレン・オーツ、「冷血」のスコット・ウィルソン、「シャンプー」「さすらいの航海」のリー・グラント、「男の出発」「荒野のストレンジャー」のアンソニー・ジェームズなどがいる。 60年前の作品であるが、アンソニー・ジェームズの変質者的な演技が妙に現代に適合しているな、と思った。昔の映画を見ていると、この人だけ現代から抜け出して過去の作品に出演しているのではないかという感覚におちいることがある。アンソニー・ジェームズだけ現代の人なのではないか。
(2025.3.7) |