2024年
 
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--- 白い巨塔 --- |
山崎豊子の小説「白い巨塔」を持っている。全五巻の大長編とは思えないほどあっという間に読んでしまった。主人公・財前五郎の栄光を求めて綱渡りするような生き方にすっかり魅せられてしまった。 2時間半の映画は小説のダイジェスト版みたいだった。小説があまりにも素晴らしかったので仕方がないか。これは映画を先に観る方がいい。 映画で素晴らしかったのは田宮二郎だ。彼は山崎豊子が想像した財前五郎というキャラクターを全身で表現していた。小説のキャラクターが生身の人間としてそこに現れたような感じだった。小説では40才くらいの役を当時31才の田宮は見事に演じていた。 共演は田村高廣、東野英治郎、小沢栄太郎、滝沢修、小川真由美、加藤嘉、藤村志保という豪華メンバーであった。滝沢修と加藤嘉のセリフの発声が素晴らしかった。他を圧していた。
田宮はのちにテレビドラマで同じ役を演じる。このとき彼は42才。まさにぴったりのはまり役だったろう。 残念ながら田宮はこのドラマの収録後自ら命を絶ってしまう。財前の綱渡りのような人生を、いつの間にか自らも生き始めてしまったのだろうか。 (2024.10.28) |
--- 暖簾 --- |
山崎豊子の「暖簾」を持っているのだが、小説の世界に入り込めずこのまま積ん読リストに入るのかな、と思っていたところへ神保町シアターの山崎豊子特集を目にした。さっそく川島雄三監督の「暖簾」を見ることにした。 川島雄三監督は「洲崎パラダイス赤信号(1956年/日活)」や「幕末太陽傳(1957年/日活)」の名監督である。「暖簾」は1958年の宝塚映画である。 「暖簾」は昆布の卸問屋に丁稚奉公した主人公が暖簾分けされて自分の店を持ち、結婚して3人の子供を持ち、さまざまな試練を乗り越えて死んでゆくまでを描いている。主人公を演じたのは森繁久彌、その妻に山田五十鈴、女友達に音羽信子、大旦那に中村鴈治郎、その妻に浪花千栄子という豪華メンバーである。 森繁久彌は老齢の主人公とその次男の二役を演じた。この時森繁久彌は45才。70才くらいの老いた主人公とその次男のはつらつとした姿を見事に演じ分けていた。
見事だったのはそれだけではない。人情家ではあるが仕事に厳しい大旦那の中村鴈治郎。主人公より年上で、好いても好かれてもいない男と結婚する女性を演じた山田五十鈴。お互いに好きなのにも関わらず、結婚できず、あきらめる女性を演じた音羽信子。それぞれがただ配役の人物を演じるのではなく、役柄の人生をにじませながら演じていた。役者も監督もプロの仕事をしていた。 これで小説「暖簾」を読む準備ができた。それにしてもあんな薄い本にこれだけの人生模様が詰まっているのだろうか。 (2024.10.16) |