指揮者が登場して拍手と共にゆっくり歩いている最中、右手でティンパニ奏者に合図するとティンパニが音を出し始めた。指揮者が指揮台に登り、手を動かすとコントラバスの演奏が始まった。そして全体の演奏が始まった。ハイドンの交響曲第103番 変ホ長調「太鼓連打」である。
指揮者は長い腕を軟体動物のように動かして、中世の音楽を優雅に表現していた。オーケストラはそれに応えて統一されたアンサンブルをかなでていた。
アンサンブル・コルマはヴァイオリン8、チェロ3、ビオラ12、コントラバス3、その他の楽器も普通のオーケストラの半分くらいの数であった。こういう小編成のオーケストラでも音の統一さえ取れていれば音楽を表現するのになんの差し障りもないことがわかった。ハイドンの交響曲第103番は優雅で緻密な音楽であった。
通常であれば大編成のオーケストラで演奏されるブルックナーの交響曲を小編成でどのように演奏するのか。非常に興味があった。
小編成とは思えないほど迫力のある演奏であった。楽器の多い少ないに関わらず、音量は出るものだと思った。指揮者は長い腕を軟体動物のように動かしたかと思うと、次の瞬間には激しく振って自分の意思をオーケストラに伝えていた。
ホールは収容600席のシューズボックス・タイプであった。残響時間が長く設計されているらしく、鳴り終わった後、最後の音がしばらく響いていた。
第0番という珍しい番号の交響曲である。この曲は第1番と第2番の間に作曲されたものらしい。第1.5番というのが正解だろう。なぜ0番なのか。ブルックナーがこの曲を公開する自信がなく、封印したためらしい。
アンコールはブルックナーの曲でこれは日本で演奏されるのはかなり珍しい、と指揮者の坂入氏が言っていた。
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