「汐留の蜆売り」。次郎吉が船宿で飲んでいると、少年がしじみを売りにくる。次郎吉はしじみを買い、少年の暮らしを訪ねる。以前姉が夫と旅に出た時のことを話し始める。旅の途中であることから罪を被り夫は牢屋へ、姉は病気の身の上だという。
よくよく聞いてみると、そのことに自分が関係していたことに思い当たる。次郎吉は・・・。
愛山ははじめに使った以外は張り扇を使わない。低い口調で淡々と物語っていく。
「骨の音」は直木賞作家 結城昌治の短篇小説が原作である。8月15日、敗戦の日に自分の会でやる、と言ってから、この話の舞台はどこでも良いが、海があって、温泉地で、5階くらいのホテルがあって・・・と語り始めた。
語るという言葉がぴったりするほど静かな声で淡々と、温泉に泊まっている旦那と呼ばれたアンマの会話が始まる・・・。
アンマは旦那の体をもみほぐしながら、戦地での自らの体験を語り始める。そのうちに愛山が話しているのかアンマが話しているのかわからなくなってくる。
初めのうちは静かに話していたアンマの声がだんだん大きくなり・・・。
今日の会場は満員。男女比は7対3くらい。そのうちに前に座っていた年配の婦人がハンカチを取り出し目の縁をぬぐい始めた。愛山先生はうつむいて話していた姿勢を元に戻すと、今日はこれでお開きでございます、と頭を下げた。
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