開口一番は市若の「子ほめ」。代表的な前座噺である。前座噺というのはリトマス試験紙みたいにもので前座がやると面白くないが真打がやるとめちゃくちゃ面白くなる。
神田松之丞の講談「芝居の喧嘩」は幡随院長兵衛もの20話のうち5話目に当たるという。芝居小屋の中で二組のヤクザが喧嘩するという派手な話だ。松之丞はいつも通り大熱演、汗びっしょりになっての口演だ。啖呵を切りあう喧嘩のシーンは講談師の独壇場だ。 松之丞は終わった時着物の前が光るほど汗をかくのだが座布団にまでしみているとは思わなかった。一之輔の前に座布団を交換していた。
一之輔は「笠碁」。老け役の得意な一之輔だけあって二人の隠居がいかにも老人同士の口喧嘩という感じで面白かった。落ちでこの老人同士が子供の頃からの友達であったことを強調する。ほのぼのとした終わり方だ。
仲入り後は柳亭市馬の「普段の袴」。初めて聴く噺だ。膝代わりにやるだけあって小品という感じだ。市馬師匠は初めて聴いたが明るくて洒落た芸風だ。まくらでやった先代の林家正蔵、柳家小さん、金原亭馬生の逸話が興味深かった。
トリは柳家三三の「三枚起請」。トリにかけるだけに大ネタだ。この長い噺を立て板に水、しかもメリハリがあって聴きやすい。「うまい」っと掛け声をかけたくなった。三人の間夫たちに責められる花魁喜瀬川が開き直って逆襲するところは上司にいびられる世のOLたちは胸がすく思いだったろう。
|