今回の旅には主題があった。 「北上川の岸部で泣く」というものであった。北上川の岸部で泣いてくるだけでは芸がないので、その有様をスケッチするというのを付け加えた。石川啄木の短歌と島崎藤村の随筆「千曲川のスケッチ」を足したような贅沢な旅である。
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まず郡山に行った。目的は三春町の土蔵を改築したカフェでコーヒーを飲むことであった。ついでに三春城址の絵を描ければいうことはなかった。
三春城址にはたどり着くことができなかった。コーヒーも飲めなかった。三春駅から歩いていくには遠すぎたためである。仕方がないので三春駅付近の絵を描いて満足することにした。
三春のコーヒーの代わりに郡山の鳥中華とクリームボックスを食べた。鳥中華は魚介類でだしをとった濃いめのスープの上に揚げ玉が一面に浮いていた。濃いめのスープに細切りの生姜が良いアクセントになっていた。クリームボックスはプレーンのクリームとピーナツバターそれにキャラメルクリームの三種類あった。
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北上では駅前に食べるところがなかった。人通りもほとんどなかった。食べ物屋と思われるところは休業の札が下がっているかシャッターが降りていた。ひとつだけあったコンビニで菓子パンなどを買い、駅の待合室で食べた。ここは観光地ではない。
「北上川の岸部で泣く」という目的がなければ花巻や盛岡へ行く方が良かったろう。
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青森市内で昼食となった。北上のように何もないことが懸念されたが、さすがに県庁所在地、北の玄関口といわれた青森市だ。そんなことはなかった。
青森市役所駅前庁舎の地階に大きな魚市場があり、その中に食堂があった。ここで食べた帆立定食が今回の旅行で食べたものの中で一番美味しかった。大きな帆立のフライ4個と野菜サラダ、味噌汁付きで1,300円は安かった。
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浅虫温泉 辰巳館
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青い森鉄道で浅虫温泉に移動し、そこで何枚か絵を描いた。
描いている最中、ポツポツ雨が降ってきたが、その滲みが思わぬ効果となった。陸奥湾に浮かぶ湯の島が浅虫温泉のシンボルだそうだ。夜、桟橋近くの広場でねぶたの練習をやっていた。今年は3年ぶりに実施するようだ。
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陸奥湾 |
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