秘湯シリーズ第二弾、法師温泉に来た。きっかけはある百貨店でやっていた「川瀬巴水展」。
たまたま目にした百貨店のポスターで川瀬巴水という版画家を知った。戦前の風景を版画にするために日本全国を歩いている。「最後の浮世絵師」というキャッチフレーズがついていた。
百貨店の特設会場で行われた展覧会にしては数多くの版画が展示されていた。そのどれもが魅力的であった。なかにひとりの男が温泉に浸っている版画があった。タイトルは「上州法師温泉」。
いかにも気持ちよさそうに温泉に浸っている。男は巴水自身である。今でも当時のままの建物で営業しているようだ。
というわけで上州は法師温泉に来た。
この宿には「法師の湯」「玉城の湯」「長寿の湯」と三つの浴槽がある。明治時代からやっているのは「法師の湯」である。お湯はぬるく、足元には石がゴロゴロしている。石の間から湯が湧き出している。天井は高く、柱は太い。これなら100年以上もつはずである。法隆寺は1,000年もっている。さらに混浴である。更衣室と入口はべつだが中は一緒になっている。
ぬるい湯に首まで浸かっていると女性用の出口に向かって行く人がいる。湯気を通して見ると女優の北川景子を少し太めにしたひとが堂々と出て行くところであった。
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