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ビリー・ホリディ / セロニアス・モンク / クラーク・テリー / フィル・ウッズ / アート・ファーマー / アート・ペッパー / カーリン・クローグ / アニタ・オデイ / 北村英治 / 三木敏悟 / クリフォード・ブラウン / 森山威男


---ビリー・ホリディ---


Thelonious Monk「Something in Blue」

BILLIE HOLIDAY
The Original Recordings


1935年から1941年までの録音主体のオムニバス・アルバムである。

LPの録音技術は1960年以降急速に発展するがそれ以前の録音状態は良くない。それでもシャリシャリ音やスクラッチノイズの中から立ち上がるビリー・ホリディのささやくようなつぶやくようなしゃがれ声は圧倒的である。我々を一気にニューヨークの場末のジャズクラブへ落とし込んでくれる。連れていかれる、というより「ストン」と落とし込まれるというほうがぴったりする。

バックミュージシャンはポール・チェンバース(b)、ケニー・クラーク(ds)、マル・ウォルドロン(pf)、テディ・ウィルソン(pf)、ハリー・エディソン(tp)といった一流どころがつとめている。

Side One
  1. God Bless The Child
  2. All Of Me
  3. You've Changed
  4. What A Little Moonlight Can Do
  5. Mean To Me
  6. Them There Eyes
Side Two
  1. Miss Brown To You
  2. My Man
  3. Gloomy Sunday
  4. I Cried For You
  5. The Man I Love
  6. Blues

1935年〜1958年 録音。

(2018.12.11)

---セロニアス・モンク---


Thelonious Monk「Something in Blue」

Something in Blue


ソロ、トリオ、ソロ、トリオと順番に収められたいる。ソロはセロニアス・モンクのピアノ・ソロ。トリオはモンクのピアノ、アル・マッキボンのベース、アート・ブレイキーのドラムスによる演奏である。A-3のみジョージ&アイラ・ガーシュインの曲、他は全てセロニアス・モンクの曲である。

「ブルー・スフィア」でのセロニアス・モンクはラグタイム風にピアノを弾く。
「ハッケンサック」ではマッキボンのベース、ブレイキーのドラムスをバックにモンクがピアノを弾きまくる。ベースとドラムスは脇に徹し、ピアノの邪魔をしない。
「いい仕事をもらったね」という曲では再びモンクのピアノ・ソロ。いかにも楽しげに、そして軽やかにピアノの音が響く。
「クリス・クロス」ではアドリブ風のモンクのピアノが前面に出て、バックをベース、ドラムスが穏やかにつける。ジャズでなければありえない曲想である。

「なんとなくブルー」。思わず聴き入ってしまうモンク独特のピアノ・ソロである。ゆっくり散歩しながら思索しているかのように右手と左手の音が重なる。
「エヴィデンス」。軽快で独特なピアノにベース、ドラムスが穏やかにバッキングする。ところどころに入るピアノの不協和音は聴く者の頭を活性化させる。
「ジャッキーイング」墨絵の一筆描きのようなモンクのピアノ・ソロである。ヨガをするときにバックに流しておきたいような曲である。
「ナッティ」ピアノ、ベース、ドラムスの絡み合いが絶妙である。メンバーのリラックスしたやり取りが楽しめる曲である。

Side A
  1. Blue Sphere
  2. Hackensack
  3. Nice Work If You Can Get It
  4. Criss Cross
Side B
  1. Something In Blue
  2. Evidence
  3. Jackie-Ing
  4. Nutty
Member
  • Thelonious Monk(pf)
  • Al McKibbon(b)
  • Art Blakey(ds)

1971年11月15日 ロンドンにて録音。

(2018.11.11)

---クラーク・テリー---


Clark Terry「C.T. MEETS MONK」

C.T. MEETS MONK


クラーク・テリーのよく歌うフリューゲルホーンが耳に心地よいアルバムである。

サイドマンはピアノにセロニアス・モンク、ベースがサム・ジョーンズ、ドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズという名人ぞろい。

クラーク・テリーの曲主体の中にモンクの曲が1曲入っている。1面4の"Let's Cool One"である。特徴のあるモンクらしいメロデイが楽しい。

サイドに回ったときのモンクは省略された音を効果的に挟んでくる。2面4の"Buck's Business"では派手なアドリブ・ソロを披露している。

ピアノ、ベース、ドラムスという標準的なリズムセクションをバックにワン・ホーンのリーダーアルバムというのは当時の典型的なジャズの形である。
1950年代のニューヨークの夜の雰囲気を味わえるモダンジャズのアルバムである。

Side 1
  1. Globetrotter
  2. One Foot In The Gutter
  3. Trust In Me
  4. Let's Cool One
Side 2
  1. Zip Co-Ed
  2. Argentia
  3. Moonlight Fiesta
  4. Buck's Business
  5. Very Near Blue
Member
  • Clark Terry(fh)
  • Thelonious Monk(pf)
  • Sam Jones(b)
  • Philly Joe Jones(ds)

1958年5月 ニューヨークにて録音。

(2018.10.1)

---フィル・ウッズ---


PHIL WOODS「RIGHTS OF SWING」

RIGHTS OF SWING


ビッグバンドとまでは行かないが編成の大きなバンドである。アルトサックス1、トランペット1、トロンボーン1、バリトンサックス1、フレンチホルン1、ピアノ1、ベース1、ドラムス1。アルトサックスがフィル・ウッズ、トロンボーンがカーティス・フラー、ピアノがトミー・フラナガンである。

全体が組曲という形になっている。パートごとに"Ballad" "Waltz" "Scherzo" "Presto" という副題がついている。

Part 2(Ballad)ではベニー・ベイリーのしっとりしたトランペットソロから始まる。フィル・ウッズのよく歌うアルトサックスも聴き逃がせない。

Part 3(Waltz)は特にワルツという感じはしない。フィル・ウッズのアルトサックスから始まる各楽器によるアドリブ合戦が楽しい。

Part 4(Scherzo)がジャムセッション風で楽しい。フィル・ウッズの艶のあるアルトサックス、トミー・フラナガンの軽やかなピアノが生きている。

Part 5(Presto)ではジュリアス・ワトキンスのフレンチホルンとフィル・ウッズのアルトサックスのスピード感のある掛け合いが聴きどころである。ストラヴィンスキーの「春の祭典」(Rites of Spring)の一節が出てきたりする。

ジャズのいろいろな形式が楽しめるアルバムである。

Side A
  1. Prelude And Part 1
  2. Part 2(Ballad)
  3. Part 3(Waltz)
Side B
  1. Part 4(Scherzo)
  2. Part 5(Presto)

1961年1月26日 ニューヨークにて録音。

(2018.9.8)

---アート・ファーマー---


ART・FARMER「EARLY ART」

EARLY ART


同じ「EARLY ART」というタイトルが付いているがこのアルバムはアート・ファーマー(tp)の初期の作品である。

A面は1954年1月20日にニューヨークで録音されたものである。メンバーはアート・ファーマー=トランペット、ソニー・ロリンズ=テナー・サックス、ホレス・シルバー=ピアノ、パーシー・ヒース=ベース、ケニー・クラーク=ドラムスという布陣。
B面は1954年11月9日にやはりニューヨークで録音されたものである。メンバーはアート・ファーマー=トランペット、ウイントン・ケリー=ピアノ、アディソン・ファーマー=ベース、ハービーケ・ラヴレ=ドラムスという布陣であった。

A面とB面でここまで違うのかと思うほどアート・ファーマーの演奏が違っている。A面のサイドメンにはソニー・ロリンズやホレス・シルバー等名の通った人たちがいるのに比べ、B面はピアノのウイントン・ケリー以外はあまり知られていない。だがB面のファーマーの演奏は格段にいい。

Side A
  1. Autumn Nocturne
  2. Soft Shoe
  3. Confab In Tempo
  4. L'll Take Romance
  5. Wisteria
Side B
  1. I've Never Been In Love Before
  2. I'll Walk Alone
  3. Gone With The Wind
  4. Alone Together
  5. Preamp

特にB-1とB-4は素晴らしい。トランペットをのびのびと吹いている。ピアノのウイントン・ケリーも天馬空を行くがごとく自由自在に弾いている。

1954年1月、1954年11月 ニューヨークにて録音。

(2018.9.4)

---アート・ペッパー---


ART・PEPPER「EARLY ART」

EARLY ART

ART・PEPPER「EARLY ART」裏面

「EARLY ART」というタイトルが付いているがこのアルバムには「THE BLUE NOTE RE-ISSUE SERIES」という副題がついている。つまりブルーノートに録音したアート・ペッパーの作品を集めて再構成したものである。「コレクションズ」「リターン・オブ・アート・ペッパー」「モダン・アート」の3枚のアルバムを2枚組のアルバムにした徳用版である。

これら3枚のオリジナルアルバムはいずれも1956年1月から1957年1月の1年間に録音されたものである。彼の生涯の中でも絶好調といえる時期に録音されたものだけにどの演奏をとっても自信満々でアルトサキソフォンをバリバリ吹きまくっている。

ちなみにアート・ペッパーの56年の生涯のうち、活動期は1952〜1960と1975〜1982の15年間であった。残念ながら1960〜1975の15年間は麻薬のリハビリテーション施設に入っていた。

本アルバムは2枚組で以下のラインアップになっている。

Side1
  1. Straight Life
  2. You’re Driving Me Crazy
  3. Yardbird Suite
  4. Pepper Steak
  5. Tenor Blooz
  6. Pepper Returns
Side2
  1. Broadway
  2. You Go To My Head
  3. Angel Wings
  4. Five More
  5. Minority
  6.  …
Side3
  1. Patricia
  2. Mambo de la Pinta
  3. Walkin’ Out Blues
  4. Blues In
  5. What Is This Thing Called Love?
  6.  …
Side4
  1. Cool Bunny
  2. Bewitched
  3. Diane’s Dilemma
  4. When You’re Smiling
  5. Stompin’ at The Savoy
  6. Blues Out

いずれ劣らぬ名曲ばかりでその時の気分によって聴きたい曲をかければ良いと思う。

たとえば内省的な気分のときは「You Go To My Head」「Patricia」「Bewitched」。
幸せな気分のときは「You’re Driving Me Crazy」「What Is This Thing Called Love?」「When You’re Smiling」。
沈んだ気分を浮き立たせたいときは「Straight Life」「Tenor Blooz」「Cool Bunny」。
というように。

この時代のアート・ペッパーは音に力があって切れが良い。すべての芸術は我々の心に入り込んでゆり動かす事ができる。そのゆれ幅は芸術家のパワーによって大きくなったり小さくなったり、全然影響を与えなかったりする。

この時期のペッパーは聴く価値がある。

1956年1月〜1957年1月 Los・Angelesにて録音。

(2018.8.8)

---カーリン・クローグ---


カーリン・クローグ「HI-FLY」

HI-FLY

カーリン・クローグ「HI-FLY」裏面

ノルウェイの歌手カーリン・クローグとアーチー・シェップのデュオ・アルバムである。ジャズボーカルのカーリン・クローグとテナー・サックスのアーチー・シェップがそれぞれの楽器でデュエットで歌っているようである。

1面は「Sing Me Softly of the Blues」「Steam」「Daydream」、2面は「Solitude」「Hi-Fly」「Soul Eyes」。

カーリン・クローグの女性にしては太い声とアーチー・シェップのよく歌うテナー・サックスの音色がよくマッチしていて耳に自然に入ってくる。

1面の「Daydream」はエリントンの有名な曲だが二人はかすかにそれと分かるくらいに編曲して歌っている。

2面のメインタイトル「Hi-Fly」はランディ・ウエストンの名曲だが元の曲がなんとか聞き取れるくらいに編曲してある。この曲はアルバムの中で一番長く、14分弱の長尺になっている。アーチー・シェップのテナー・サックスソロによるアドリブプレイは豊かな音色で聴き惚れてしまう。

ノルウェイのジャズ歌手カーリン・クローグはよく歌うテナー・サックスをバックに独特の太い歌声で一味違うアルバムに仕上げている。

1976年6月23日 オスロ・Arne Beendiksen Studioにて録音。

(2018.6.24)

---アニタ・オデイ---


アニタ・オデイ「ANITA SINGS THE MOST」

ANITA SINGS THE MOST


バックミュージシャンが素晴らしい。ピアノ:オスカー・ピーターソン、ギター:ハーブ・エリス、ベース:レイ・ブラウン、ドラムス:ミルト・ホランド、ジョン・ブール。もちろんアニタ・オデイのボーカルは絶品である。

1面は「スワンダフル」「テンダリー」「オールド・デヴィル・ムーン」「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」「また会う日まで」。ハスキー気味のスインギーなアニタの声は一つの楽器となってバックの楽器と一つになる。

アニタの歌に絡むように寄り添うピーターソンのピアノ、ハーブ・エリスのギターが心地よい。

2面は「星影のステラ」「恋のチャンス」「ゼム・ゼア・アイズ」「思いのまま」「私に頼むわ」「魅惑されて」。

「ゼム・ゼア・アイズ」では超高速ボーカルのアニタにからむピーターソンのピアノ、ハーブ・エリスのギターも超高速である。

次の「思いのまま」ではスローなバラード調でしっとりと唄うアニタ。緩急自在にスタンダード・ナンバーを唄うアニタは絶好調である。

1956年5月ロス・アンジェルスにて録音。

(2018.5.4)

---北村英治---


北村英治「Live at the Junk」

Live at the Junk

北村英治「Live at the Junk」裏面

録音年月日はどこにも書いていない。ライナーノーツにも今年3月11日に銀座のジャズクラブ "ジャンク" で録音されたものです、としか書いてない。いいかげんなものである。このいいかげんさと録音がステレオであることから1960年代だろうと推察する。

最も録音された日など関係ない。それがいい演奏ならば。このアルバムは当時の最高のメンバーによる最高の演奏である。

A面1曲目は「レスター・リープス・イン」。スインギーな曲を尾田悟のテナーサックスと北村英治のクラリネットがノリノリでソロをとっている。増田一郎のヴァイブラフォンも効いている。ライブ録音だけに観客の口笛や手拍子が聞こえる。

A面2曲目と3曲目はマーサ三宅のボーカルを加えて「マイ・アイデアル」と「嘘は罪」。思い入れたっぷりに歌う様子はこれぞ西洋小唄と言わんばかりだ。

B面1曲目の「君さりし後」は名曲中の名曲。北村英治の軽快なクラリネットが唄う唄う、唄いまくる。それにつられて増田一郎のヴァイブラフォン、西代宗良のトランペット、八城一夫のピアノ、須永ひろしのドラムスが続く。観客もノリにノっている。

B面2曲目の「思い出のたね」もスタンダード・ナンバー。スローな曲を尾田悟のテナーサックスが情緒たっぷりに唄う。

B面3曲目の「捧げるは愛のみ」は西代宗良のトランペットから始まる。観客の手拍子がすごい。まるでジャズクラブにいるようだ。テナーサックス、クラリネット、ヴァイブラフォン、ピアノと続き、観客の掛け声がますます激しくなる。会場の演奏はさらに続くのだろうがこのアルバムではこれでおしまい。ジャズはライブで聴かなければダメだ。

ジャズの原点はスイングジャズだ。楽しくなければジャズじゃない。演奏メンバーひとりひとりがそう言っているようなアルバムである。

銀座 "ジャンク" で録音。

(2018.3.21)

---三木敏悟---


三木敏悟「Scandinavian Suite」

北欧組曲

三木敏悟「Scandinavian Suite」裏面

1978年スリー・ブラインド・マイスから発売されたアルバムである。作曲・編曲:三木敏悟、演奏:高橋達也と東京ユニオン。当時演奏録音とも日本の最高水準を越すと言われた名盤である。

今改めて聴いてみてこれは今でも日本のビッグバンドの最高の演奏ではないかと思う。最高の演奏と金になるならないとは別物であり、今東京ユニオンは解散し、三木敏悟はコマーシャルな方面の作曲家として活躍している。

アルバム名は「Scandinavian Suite」日本の題名は「北欧組曲」。マーケットを世界に絞っていたらしくタイトル演奏者その他すべて英語表記である。

曲目は「白夜の哀しみ」(Midnight Sunrise)、「エドワード・ムンクの肖像」(Sketches of Munch)、「グレタ・ガルボの伝説」(The Legend of Garbo)、「アンデルセンの幻想」(Andersen Fantasia)、「シベリウスの遺言」(Siblius' Testament)、「遊ぶ子供たち」(Children at Play) と日本語の題名もしゃれている。

1面1曲目の「白夜の哀しみ」は冒頭の曲だけあって特に力が入っている。高橋達也のテナーサックス・ソロは素晴らしく、北欧の空気感を見事に表現している。

1面2曲目の「エドワード・ムンクの肖像」はビッグバンドでなければできない表現方法で、メンバーそれぞれ作曲者の意図を十分に表現している。

1面3曲目の「グレタ・ガルボの伝説」では冒頭の音が出た瞬間、きらびやかなドレスを身にまとった女優の姿が浮かんでくる。

1曲ずつ録音して手元に置き、気分に応じて聴きなおしたい。そういうアルバムである。

1977年5月15日、22日、東京で録音。

(2018.3.3)

---クリフォード・ブラウン---


クリフォード・ブラウン「CLIFFORD BROWN ALL STARS」

CLIFFORD BROWN ALL STARS

クリフォード・ブラウン「CLIFFORD BROWN ALL STARS」裏面

1面はDuke Ellington作曲の「Caravan」約15分。最初からアップテンポで展開される。ハーブ・ゲラー(アルトサックス)→ウォルター・ベントン(テナーサックス)→ジョー・メイニ(アルトサックス)→クリフォード・ブラウン(トランペット)→ケニー・ドリュー(ピアノ)→マックス・ローチ(ドラムス)とソロを取って行く。ブラウンのトランペットとローチのドラムスが素晴らしい。血湧き肉躍る演奏である。

2面はVernon Duke作曲の「Autumn in New York」約22分。打って変わってスローバラードである。クリフォード・ブラウン(トランペット)→ケニー・ドリュー(ピアノ)→ジョー・メイニ(アルトサックス)→ウォルター・ベントン(テナーサックス)→カーティス・カウンス(ベース)→ハーブ・ゲラー(アルトサックス)の順番でしっとりと歌い上げる。

'54年代の演奏としては珍しく一面に一曲ずつのの録音である。演奏者のソロ演奏をたっぷり聴くことができる。

クリフォード・ブラウンの演奏をアップテンポでそしてスローなバラードで堪能することができる貴重なレコードである。

1954年8月11日、ロスアンジェルスで録音。

(2018.2.12)

---森山威男---


森山威男「SMILE」

SMILE

森山威男「SMILE」

1面の「エクスチェンジ」「ワタラセ」はピアニスト板橋文夫の作品である。この時期同じグループでやっていただけに板橋とドラムスの森山威男の演奏は息がぴったり合っている。森山のドラムスは乾いた軽い音だ。途中ソロを取る松風鉱一のアルトサックスも気持ちよく歌っている。

2面の1曲めは松風鉱一の作品「ステップ」。うねうねと続くアルトサックスにつられるように森山のドラムスが絡んでいく。

2面2曲目は本アルバムのタイトル曲チャーリー・チャップリン作曲の「スマイル」。板橋のピアノ、森山のドラムス、国安良夫のテナーサックスが名曲を気持ちよく歌い上げる。

最後の曲は板橋の作品「グッドバイ」。板橋のピアノソロから始まり、国安のソプラノサックスへと続くバラード。ベースの望月英明がフューチャーされる。全員で歌い上げてエンド。

板橋文夫の曲をメインにしたアルバムである。聴き終えてみると日本的な懐かしさが後に残る。

1980年11月、録音。

(2018.1.11)

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