秋吉敏子カルテット・フューチァリング スティーブン・ハフステッターといったアルバムである。
秋吉敏子の本格的なフォービートのピアノとスティーブン・ハフステッターの冬の青空のような透明なトランペットの音が楽しめる。
どちらを聴いてもいい。私はA面1曲目の「Notrous Tourist From The East」の初めの音が鳴り響いた瞬間から耳がスティーブンのトランペットにとらえられてしまい、最後までトランペットの音を聴いてしまった。
「Notrous Tourist From The East」はスペインのフラメンコのような曲調でトランペットの音が闘牛士のように我々の前に立ちはだかるようである。
A面2曲目の「Soliloquy」はトランペットによるメロディアスな「独り言」が延々と続く。秋吉のピアノも途切れることなく続く。ピアノのパートになると思わずスイング感に体が乗ってしまう。
B面1曲目の「Hangin' Loose」はルー・タバキンのユーモラスなサキソフォンの演奏でおなじみな曲だが、スティーブンのキレのあるトランペットで聴くと別の曲のように聞こえる。秋吉のキレのよいピアノがそれにかぶさるように続く。
秋吉のエレクトリックピアノソロによる「Memory」はビッグバンドで聴くよりもさらに思索的に聴こえる。
ジャムセッション風の「After Mr. Teng」でお祭り風ににぎやかに終わる。ここでは全員が自己主張する。
このアルバムでは秋吉敏子が作った曲をいつものビッグバンドではなくカルテットで演奏している。ひとつひとつの楽器が際立って聞こえ、冬の夜楽しむのにふさわしいアルバムである。
1978年12月5日, 6日録音、メンバーは以下。
- Toshiko Akiyosi(pf)
- Steven Huffsteter(tp)
- Gene Cherico(b)
- Billy Higgins(ds)
(2016.2.17)
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