フィル・ウッズのご機嫌な2枚組みのアルバムである。
ワシントンのジャズ・クラブ「ショーボート・ラウンジ」で1976年11月に録音されたライブ盤だ。
ライブ盤には人の話し声や食器のふれ合う音などが入っているものもあるが本アルバムはまるでスタジオ録音盤といってもいいくらい録音状態が良い。
全13曲。フィル・ウッズのいろいろな面が楽しめる。スローなテンポのバラード、アップテンポの曲、ポピュラーな曲から自作の曲まで、まさに「ショーボート」である。
共演者はマイク・メリロ(pf)、ハリー・リーヘイ(g)、スティーヴ・ギルモア(b)、ビル・グッドウィン(ds)、アリリオ・リマ(perc)と一人も知らないが、いつもやっているメンバーなんだろう、息がぴったり合っている。
A面2曲目の「レイン・ダンス」はメンバーのギタリスト、ハリー・リーヘイが作った曲らしいがフィル・ウッズのソプラノサックスがうねるように鳴り渡り、そこにハリー・リーヘイのギターが絡みつき、まさにモダンジャズの醍醐味だ。 B面最初の「チーク・トウ・チーク」アーヴィング・バーリンのおなじみの曲だがフィルのすばらしいアレンジでいかにもモダンジャズらしい曲になっている。
C面のブラジリアン・アフェアは20分を超える演奏だがラテンのリズムに乗ってアルトサックスを吹きまくっており、最後に観客が歓声を上げているのが録音されていてボリウムを上げ気味で聴くと自分が観客の中にいるかのようである。 D面最初の曲「アイム・レイト」はディズニー映画「不思議の国のアリス」の中の曲らしいがアップテンポなアレンジでソプラノサックスを吹きまくっており、思わず体が動いてしまう。
久しぶりに聴いたがフィル・ウッズのアルトサックスは実に軽快で歯切れがよく、聴いていて気持ちが良い。雨の降る日曜日なんかに少し気分を変えたいなと思ったらフィル・ウッズを聴くに限る。
(2015.3.8)
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