*             *             *
武田和命が亡くなったのは1989年8月18日であった。筆者が「りぶる」で武田和命の吠えるようなテナーサックスを聴いたのは1985年または1986年であった。亡くなる3、4年前であった。
「りぶる」のマスターの名前は須田美和さんといい、1986年当時38才であった。痩身でいかにも自由人という服装をしていた。ジャズ喫茶のマスターのイメージ通りの様子をしていた。
筆者が武田和命のテナーを聴いた20年後の2006年、音楽仲間やジャズ喫茶店主のブログに須田氏失踪の知らせが載った。
ーーー「りぶる」のマスター須田美和さん(58歳)が先週の月曜日(20日)午後1時頃に自宅の東船橋から「慈恵医大青戸病院へ行く」と言い残し車を自分で運転し、病院へ向かったそうなのですが、そのまま音信が途絶えてしまったそうです。ーーー警察の情報で、須田さんの車が、荒川区の国道4号線、千住大橋付近を、20日の夜8:00頃、入谷方面から河川敷方向に通過しているということが判明しています。ーーーもし、何かお心当たりのある方がおられましたら、是非お知らせいただけますよう広く呼びかけていただけないでしょうか。ーーー
そして2009年、ある音楽関係者のブログに以下の知らせが載った。
ーーー訃報です。須田さんを心配されていた方々や、須田さんを「りぶる」を大好きだった方々へ。ーーー
須田美和さんは品川・日の出埠頭で車ごと見つかったそうです。3年ぶりにやっと。。海を放浪していた須田さんは疲れて見つけてほしかった、本当におつかれさま、・・・お帰りなさい・・・。ーーー
JR市川駅近くにあった「りぶる」はもうない。今行くと、山下洋輔や明田川荘之らが熱い演奏を繰り広げた場所とは思えない、普通の住宅街になっている。
山下洋輔(78才)と明田川荘之(70才)は今も現役で活躍している。
(2020.12.2)
|