”ソロ・モンク”はミュージカルの主題歌やスタンダードな曲を集め、”ラウンド・アバウト・ミッドナイト”は自分が作曲した曲を中心にモダン・ジャズの名曲を集めている。
両方ともセロニアス・モンクのピアノ・ソロである。モンクのピアノは山下洋輔やセシル・テイラーとは対照的に音の数が極端に少ない。ということはひとつひとつの音の密度が高い。 この時代にこのような曲想でピアノを弾いて観衆によく受け入れられたものだと思うが、その音の密度の濃さに圧倒されて受け入れざるを得なかったのかもしれない。1950年代に発表されたこれらのアルバムの音は2013年に聴いても新しい。そして圧倒される。
モンクの特徴がよくあらわれたアルバムは”ラウンド・アバウト・ミッドナイト”だ。A面3曲目の”煙が目にしみる”以外はすべて自分が作曲した曲である。A面はモンクが作曲した曲の中でもスタンダードになった曲を集め、B面は実験的、意欲的な曲を集めている。 どの曲も聴く者の予想を見事に跳ね返してくれる。予定調和的な聴きかたはモンクに対してはできない。名曲”煙が目にしみる”にしても同様。アレっというところで音が跳んだりはねたりする。 仕事で疲れた脳をマッサージするのに最適なアルバムである。
(2013.11.24)
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