2020年に亡くなったエンニオ・モリコーネを偲んで「ニュー・シネマ・パラダイス」を監督したジュゼッペ・トルナトーレが2021年に映画化した作品。作品は全編エンニオ・モリコーネ本人が自分の作品を振り返るモノローグでできている。本人が生きているうちに作られたものを、亡くなってから編集して公開されたのであろう。
この映画を観るとモリコーネはどんなに褒めても足りないくらいの業績を上げた人物であることがわかる。
彼が作曲した作品を挙げると誰でも知っている映画がひとつやふたつは必ずある。たとえば、
- 荒野の用心棒(1964)
- 夕陽のガンマン(1965)
- 夕陽の用心棒(1965)
- アルジェの戦い(1966)
- 続・夕陽のガンマン(1966)
- ウエスタン (1968)
- 狼の挽歌 (1970)
- 死刑台のメロディ (1971)
- オルカ (1977)
- 遊星からの物体X (1982)
- ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ (1984)
- ミッション(1986)
- アンタッチャブル (1987)
- ニュー・シネマ・パラダイス (1988)
- ディスクロージャー (1994)
- めぐり逢い(1994)
- 海の上のピアニスト (1998)
- オペラ座の怪人(1998)
- 鑑定士と顔のない依頼人 (2013)
- ヘイトフル・エイト (2015)
- ある天文学者の恋文(2016)
1964年から2016年まで切れ目なく映画音楽を作曲し、それぞれの音楽が独立していて、ジャンルを問わないところが彼の特徴である。彼を賛美する映画人の中には、彼をベートーヴェンやモーツァルトにたとえるひともいる。
筆者はマカロニ・ウェスタンの作曲家というイメージを持っていたが、本映画を観て決してそれだけではないことがわかった。「ミッション」や「ヘイトフル・エイト」を観ると壮大な交響曲を聴いているようである。
映画は157分(2時間37分)と長く、尻が痛くなったが、彼の業績を表現するには不足であった。これだけ数があると、選曲に監督の好みが出てくるのは仕方がない。「オルカ (1977)」や「遊星からの物体X (1982)」ってどんな音楽だったっけ、とかチャールズ・ブロンソン主演の「狼の挽歌 (1970)」の音楽って? 、と思うひともいるに違いない。
モリコーネを偲ぶにはそれぞれのひとが思い入れのある映画を2、3本DVDなどで観るしかないだろう。
(2023.1.16)
|