アメリカの役者の層の厚さはうらやましい限りだ。
主役の三人、スティーヴ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロそれぞれがすばらしい。
特にスティーヴ・カレル、この映画は彼でもっている。スティーヴ・カレルといえば「ゲット・スマート」とか「俺たちスーパーマジシャン」とかおバカ映画の記憶しかない俳優だが、検索してみると本作以外はみごとにおバカ映画ばかりだ。自分のイメージを強烈に崩す役をよく引き受けたものだ。
感心したのは笑うシーンだ。彼が笑うシーンは一箇所しかない。その笑い顔で自分の生い立ちやどういうしつけを受けたか、現在の精神状態まですべて表現していた。
笑い顔は演技しにくい。日本の俳優は笑い顔に関しては自前のものしか使っておらず、そこで今までの性格設定を台無しにしている例が多い。
チャニング・テイタムは2年前「ホワイトハウス・ダウン」を観たが、そのときに比べてだいぶ体が引き締まっていて動作もすばやくなっていた。
マーク・ラファロとチャニング・テイタムがレスリングのスパーリングをするシーンはかなり訓練したのではないかと思うくらいすばやい動きだった。
アカデミー賞では主演男優賞のスティーヴ・カレルしかノミネートされていなかったが、賞とは関係なく上質の映画だと思った。
(2015.2.21)
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