橘家かな文の「たらちね」は前座噺の定石だ。丁寧に大家さんが見合い話を持ってきたところから始めたばっかりに肝心の馬鹿丁寧な新妻の口上を大幅にカットしてしまった。前座なんだからいきなり口上から始めても良かったのではないか。かな文、威勢は良かった。
柳家喬太郎の「抜け雀」は手馴れたものだ。あまり脱線せず純粋に古典を演った。口跡は相変わらずよく、メリハリも効いて耳に心地良かった。
仲入り後、文珍かと思ったら母心という若手の漫才師が出てきたので観客は「おっ」という感じだった。しかも片方は女装だ。女装というだけで話しぶりは普通の男だから何のために女装したのかわからない。わからないけどなんとなく面白い。前置きの銀座線のネタも面白かったが、歌舞伎ネタがむちゃくちゃ面白かった。このために女装したのか。歌舞伎に詳しいらしく仕草もサマになっていた。
本人たちも言っていたがブレイク間際の芸人独特の勢いがあった。ブレイクするだろう。
上方の桂文珍は新作落語の「定年の夜」。それなりに面白かったが正統的な上方の古典落語が聴きたかった。 二人会ではやらないかな。夜の部ではやったかも…。 |