柳家喬太郎+佐山雅弘  一覧へ


チラシ

ジャズピアノと落語のコラボレーション。演劇で共演した組み合わせをスピンオフしたものだそうである。演劇の中での小さな役がバカに面白かったのでそれだけで一つの舞台になるのではという発想から試みたものらしい。

名脇役が必ずしも名主役になれるものではないのと同様、キラッと光ったある場面が良かったからといってそれだけで一つの舞台にしてしまうのは役不足ということもある。本舞台もピアノは良かった、落語は良かった、だがつなぎの部分がどうだったかな? と考えると練りに練られた舞台とは言えなかった。

だが久しぶりに聞く佐山のピアノソロは良かった。何より音が素晴らしい。普通のアップライトピアノからよくこんなにきらびやかな音が出るものだ。しかも後ろの方の座席で聞いてもまるでPAを使っているかのように大きく聞こえる。戦前のジャズからモダンジャズ、ビートルズから歌謡曲まで流麗に弾きこなした。

喬太郎の噺は相変わらず達者なものである。前半の挿入歌ならぬ挿入噺「紙入れ」、後半の挿入噺「肥辰一代記」、両方ともバレぎみの話だが、観客に「怒ってます?」とか聞きながらも平然とやってしまうのも喬太郎ならではである。

チラシ裏

三遊亭円丈作の「肥辰一代記」はよくこんな話を高座にかけるな、と思ったが、考えてみればし尿の汲み取りは子供の頃は日常のことであった。実家の隣が大工兼農家で近所の便所の汲み取りを1回50円で一手に引き受けていた。汲み取ったし尿は肥溜めで発酵させ有機肥料にしてから畑に撒くのだ。資源のリサイクルである。よくこんな話を…、と思うこと自体が無駄遣いを奨励して金をかすめ盗ろうとする現代文明に洗脳されているのだろう。


(演目)

  • ニッポン芸能史を生きた男・森田さんの愉快な一生(上)
    • 紙入れ
  • --休憩--
  • ニッポン芸能史を生きた男・森田さんの愉快な一生(下)
    • 肥辰一代記

(時・場所)

  • 2016年4月11日(月)
  • 19:00〜21:10
  • 紀伊国屋ホール


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