毎年桜の時期にここでやるコンサートを楽しみにしている。今年も昨日までが暖かだったせいで満開だった。
例年同じ曲からスタートし最後はポレロで締めくくるのだが、今年はピアノソロではあまりやらない曲を中心にプログラムを組んだようだ。まずは「ミナのセカンドテーマ」。坂田明のまがまがしいアルトサックスが印象的な曲だ。ピアノではあの怪しい雰囲気は出ない。
ジャズ風の「さくら」、おなじみの「仙波山」と続き、コール・ポーターの「Everytime We Say Goodby」。これはしみじみしたいい曲でピアノソロで聴くと泣ける。西洋の演歌のようだ。
前半の最後はドヴォルザークの「新世界より」から第四楽章。これはとてもピアノソロには聞こえなかった。まるでオーケストラを聴いているようだった。アコースティックなピアノというのはここまで豊かな音色を持っているのだと再認識させられた。マイクを通さない純然たるアコースティックなコンサートでこれほど豊かな音色で聴けるのはここと東京文化会館小ホールくらいではないか。
休憩の後は「砂山」「クレイ」「コミュニケーション」とおなじみの曲が続き、友人である画家の松井守男が今コルシカ島に住んでいるという話からコルシカ民謡をイントロに松井の絵からインスパイアされて作った曲「Behind the Red」。これはビーバップ風の曲で体が思わず動き出しそうになった。
最後はおなじみの「ボレロ」。最後の曲は「ボレロ」と決まっているのだが、曲想は毎回違う。今年は原曲に一番近かったように感じた。原曲に近いとはいえお家芸の肘打ちの連打は健在であった。
アンコールはパブロ・カザルスで有名なカタルーニャ民謡「鳥の歌」。ピアノソロでこれを聴くと心がシーンとする。
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