談笑の「猿の夢」というのが面白かった。
男が医者にあなたはDNA的に猿です、と宣言されてしまう。初めは反論するのだがどの病院へ行っても猿と診断されてしまう。医者と妻がグルになって自分を排除しようとしているのではと想像したりもするが、徐々に自分が猿であると納得せざるを得なくなってくる。保健所の係員に捕まりそうになって逃げこんだ下水道の中で大腸菌と診断された男に出会う。SFか不条理劇という展開になって最後はどうなってしまうのか…、という噺だ。
セルジオ・レオーネ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」という映画でイタリア系移民役のデニーロがあまりに苛烈な人生の最後に「夢落ち」になりそうになってそれでも現実だ、という場面があった。談笑はそれに似たような落ちを付けた。人生は苛烈だ。けれども現実だ。…と。
志らくは滑稽噺2題「長短」と「親子酒」だ。両方とも手あかのついた古典噺だが志らく独特の解釈でより滑稽にして笑わせてくれた。
談笑の「鮫講釈」というのは初めて聴く古典落語だった。講談の部分が調子よくパンパンと進み、何を言っているのかわからないが有名な演目のさわりだけを立て続けに演るところが要のようだ。変わり種の滑稽噺だ。ネットで調べると談志とか談春が演っている。立川一門ではよくかけられている演目かもしれない。
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