初めてラマンチャを見たのは幸四郎がまだ染五郎といっていたころだから40数年前になる。凱旋公演ということだったから当時の染五郎がブロードウェイで向こうの共演者と英語で演ってきた直後だったと記憶している。
40数年の間に4,5回は見ているから幸四郎のラマンチャの歴史をたどっているようなものだ。アルドンザを演じていたのは草笛光子さん、上月昇さん、鳳蘭さん、松たか子さんだった。今回は霧矢大夢さんだ。ラマンチャの歴史はアルドンザを演ずる女優さんの歴史といってもいい。
毎回素晴らしい女優さんが演じているが今回の霧矢大夢さんは素晴らしかった。元宝塚月組のトップスターだから素晴らしくて当然なのだが、動きのシャープさ歌のうまさに目がくぎ付けになった。
カーテンコールで出演者全員が次々に出てくるのだが最後に幸四郎が出てきたとき、あっと思った。他の俳優とはまるで違うオーラが出ているのだ。
これが千両役者というのだな、と思った。
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