舞台は宮城県石巻北高校、蔵王高校、伊丹市伊丹高校の選抜メンバーによるビッグバンドの演奏から始まった。曲目といい構成といい映画「スイングガールズ」を見ているようだった。東日本大震災と阪神大震災を経験した者同士の合同チームということで今回のコンサートのテーマが知らされる。
第二部は大坂昌彦率いるスーパージャズカルテット。スタンダードナンバー中心の聴きやすいジャズであった。大坂昌彦のフォービートの達者なドラミングに思わず体が動いてしまう。
第三部は日野皓正、ラリー・カールトンの双頭バンド。そして今回仙台までこのコンサートを聴きに来た目的、大西順子がサイドでピアノを弾く。
曲目はラリー・カールトンと日野皓正の曲を交互に演奏した。日野もラリーも楽器をアンプで増幅しているので凄い大音量だ。第二部のアコースティックなジャズとは180度違うがこれもジャズだ。ジャズは国境もジャンルの違いも超越する。このジャンルでは大西順子のピアノを堪能することはできないかなー? と思わせたがやはりそうだった。大西も曲に合わせてエレクトリックピアノを多用し、アコースティックなピアノは1,2曲弾いた程度だった。
今回は大西がピアノを弾く姿を見るだけで満足しなければならない。彼女がコンサート会場でピアノを弾かなくなってから10年近くになるのだから。
73才の日野は1時間半精力的に吹きまくった。67才のラリー・カールトンは我々にとってもはやレジェンドだ。
ふたりが作り出す音楽は無条件で我々を乗せてくれる。日野のハイトーンのトランペットとラリーのつやのあるギターの音は我々の体を包み込みどこにでも連れて行ってくれる。
アンコールの舞台では日野が高校生グループを指揮してフリージャズの世界へ導いた。プログループと高校生グループはジャズの世界の中で溶け合ってうらやましいほどの一体感を出していた。彼らの得たものは我々の予想以上に大きかったのではないか。
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