ふう丈は三遊亭圓丈の9番弟子。2012年入門だからまだ3年目だ。その割には声がよく出ていて噺にリズムがある。大学の落研で一生懸命やってきた成果か。
「茄子娘」というのは初めて聴く噺だ。寺の住職が夢の中で茄子の化身と交わり、娘が生まれるというSFのような話だ。短い話で一筆書きのような趣がある。三三は器用な噺家で人情噺でも滑稽噺でもこのような風流な噺でもそつなくこなす。
有名な古典落語の「百川」は喬太郎が料理するとなんとなく現代的な噺になる。魚河岸の若い衆の会話が妙に今風でおかしい。
仲入り後の「ウルトラのつる」は喬太郎の独壇場。天馬空を行くごとしだ。あの前座噺の「つる」をウルトラマンネタでやるとは…。人情噺をこってりじっくりやるさん喬の弟子がこのようなハチャメチャな噺をやるとは…。
「粗忽の釘」はちょっと頭の弱い亭主の話。小三治の「純粋培養」三三はこの亭主を小三治風に演じる。落語界の師匠と弟子の関係はさん喬-喬太郎のようにまるで違う芸風になるのと小三治-三三のように「純粋培養」型になるのと二通りあるようだ。
ただし、「初天神」から「ウルトラのつる」まで今日やった噺を全部網羅してまとめあげたのは三三の工夫だ。
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