トリトンスクエアの桜は蕾が少し開いたくらいだった。それでも暖かい日で上着が要らないくらいの陽気だった。
山下洋輔は1曲目は必ずMCなしで演奏する。気分を落ち着かせるためだろうか。今日の1曲目は映画「ゆずり葉の頃」の主題曲「Gentle Conversation」。歌詞をつけてビリー・ホリディに歌わせたら似合いそうなブルージーな曲だ。映画は八千草薫、仲代達矢主演で今年5月23日から公開される。
2曲目も山下作曲の「Seven Tails Cats」と「Triple Cats」。山下洋輔は猫好きのようだ。
3曲目は今日の日付を音符に直して即興で弾いた曲。1,2,3をドレミに置き換えて2015328を音符にするとこういう曲になるらしい。不思議な曲だった。
4曲目はドボルザークの「新世界より」。去年トリオでドボルザークの故郷チェコとスロバキアで演奏したそうだ。激しく演奏するところでは肘打ちや拳打ちも使ったため、ブーイングを浴びるかと思ったらスタンディング・オベーションだったそうだ。
休憩を挟んでモダンジャズの名曲「Well You Needn't」と「I'll Remember April」をやった。手馴れた曲のせいか観客席が春の柔らかい空気に包まれたような感じになった。新しいジャズも良いが古いジャズも捨てがたい。
次は山下作曲の「ピアノ五重奏曲 第2番」から第3楽章をピアノ・ソロで演奏した。これは全曲演奏したらかなり重い作品になるだろう。
カタロニア民謡の「鳥の歌」も最近良く演奏する曲だ。西洋の小唄のような感じで耳に心地よい。
今年もトリは「ボレロ」。今年の「ボレロ」は一味違っていた。
おなじみの曲想に細かい節をつけてからくり細工のような工夫をしていた。もちろん締めは肘と拳固総動員でしっかり決めてくれた。
ここでのアンコールは「さくらさくら」に決めているらしい。外の桜が蕾なのに合わせてかわいらしい「さくらさくら」だった。
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