今年最初のコンサートは5オクターブの持ち主といわれる新妻聖子だ。2003年、劇団四季の「ミス・サイゴン」で注目を浴び、その後も着々と実力を磨き、今や押しも押されもせぬ実力派シンガーだ。
5オクターブとはどんな声なんだろう、と緊張気味に第一声を待った。
うーん。何かCDのような。しかもバックにかぶる伴奏がやけにうるさい。見たところバックミュージシャンはピアノ、ヴァイオリン、ドラムス、ベースの4人編成でこんなに大きな音が出るようなものではない。いくら有名なミュージカルナンバーとはいえこんな大げさに伴奏を付ける必要はないのだが。
ということであっけにとられて5オクターブの歌声どころではなかった。
後半になってバックは4人編成らしい落ち着いた音になってきた。前半のあれは何だったんだろう。新妻聖子は持ち歌とミュージカルナンバーをかわるがわる快調に歌う。声もきれいで伸びがある。時々現れる高音部はさすが5オクターブと称されるだけあっていくら張り上げても苦しさを感じない。余裕がある。
残念なのはMC。まるで仲間内で話しているように話す。歌声に心地よくなってもMCで元に戻る、の繰り返しだ。
歌声は素晴らしかったが、深い感動に胸が震える、というようなことにはならなかった。
ただ彼女の稚拙なMCに大声で笑ったり、拍手をしたりというファンもたくさんいたので求めているものが違ったのだろう。
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