前々回はスモールグループ、前回はソロピアノ、そして今回はビッグバンドである。
今年は山下洋輔の3種類の表現方法によるジャズを聴くことになった。
もっともどんな編成になっても我々は山下の強烈なピアノ演奏を聴くことになる。
場所はオーチャードホール、曲目はクラシックの名曲、ムソルグスキーの「展覧会の絵」とドボルザークの「新世界より」だ。
ジャズに編曲したからといって省略したりはしない。全曲やる。プロデュースした山下と編曲をした松本治の心意気が伝わってくるようだ。
「展覧会の絵」はあの有名なフレーズしか知らなかった。
こういう小曲の集まりだったんだ。ということで初めて聞くも同然、こういうものかという感想しか持てなかった
「新世界より」は何度も聴いて原曲はよく知っている。
原曲の雰囲気を保ちながらもジャズになっている。凄い編曲だと思った。
出演したミュージシャンの特長を出しながらそれぞれに華を持たせた編曲で全員の個性を知り尽くした松本だからこそできたことだと思う。
あの有名なフレーズはアルトサックスの池田篤が吹いた。実によく泣いていた。
ここぞというときは山下、高橋信之介、水谷浩章の強力なリズムセクションが咆哮する。クラシックではこうはいかない。
一番若い高橋信之介の柔らかく、力強いドラムスは名人ぞろいのビッグバンドをグイグイぐいぐい引っ張っていた。
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