今日は”ふなっしー”の格好をすることもなく普通に羽織袴で出てきた。
長めのまくらの後おもむろに落語独特の不条理の噺”ぞろぞろ”を演った。
噺が終わって引っ込むかと思ったらそのまま世間話を始め、次の噺”試し酒”に入っていった。
こういう噺の連続をなんていうんだろう。観客は得をした気分になる。
試し酒も不条理の噺。 落語の分類の中にはこういう不条理な噺がいくつかある。自分の頭にできた池に飛び込む噺とか行き倒れの死体が自分で、この死体を抱いているのは誰なんだろう、とか。
仲入りの後お楽しみたい平の18番かと思いきや、弟子の林家あずみの三味線漫談。残念ながらまだ漫談になっていない程度の芸であった。三味線漫談を目指すならなぜ内海桂子に弟子入りしないんだろう? トリは親孝行をまくらにして”おかめ団子”へ入っていった。
三児の父であるたい平は親孝行に関して一つの意見を持っている。
親孝行は一人前になった者が年老いた両親にするまでもなく、両親が若い時から既にしている。という。
子供は特別のことをするまでもない。ただそこにいて成長する姿を見せているだけでよい。
親は子供を遊園地や動物園に連れていく。
子供が学校へ行ったり、課外活動をする様子を見聞きし、時には参加する。
子供の友達の両親と交流する。
子供の体験を共有し、一喜一憂する。
親は子供がいなければできない体験をし、それによって成長する。
このことが親孝行でなくてなんというのか。
親は自分一人だけで親になったと思ってはいけない。
子供がいるからこそ親にさせてもらっているのだ。
たい平は羽織を脱いでおもむろに”おかめ団子”に入っていった。
【 時々顔を出すTより 】
たい平の感想;
たい平の独演会はいつも期待以上におもしろい。今回はおもしろさに感動が加わった内容だった。
大テーマは「思いやり」だと思った。旦那と奉公人や親と子の間の思いやりだ。
たい平の人情噺は絶品である。
何度も涙を拭った。彼は熱い!だが、冷静沈着な部分も 持ち合わせているから安心して見ていられる。
そしてまくらを含め、終始明るい。純粋なポジティブ笑いができる。悪口で盛り上がるということもあるが、それでは何となく後味が悪い。
思いっきり笑い、泣けるチケットを買うために明日からまた働こうと思う。
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