えっえーーー! 昇太ってこんなにおもしろかったの?
あまりの面白さに悶絶してしまった。
1月5日の新春落語界であまりいい印象を持たなかった昇太が今夜は絶好調だ。
”宿屋の仇討ち”では志ん生もびっくりという絶妙の省略でテンポよく観客を乗せてくれた。他の噺家がやったらダラダラしがちな宴会のシーンも婆さん芸者がヨタヨタと入り込んでくる場面でさっと切り上げていきなりドンチャン騒ぎのシーンへと移っていくあたりはワクワクするほどの躍動感を感じた。 本人も会心の出来だったに違いない。噺を終えた後涙をぬぐっていた。
これだから落語は聴いてみなければわからない。
”長命”はふつう”短命”という演題でかけられている噺だ。昇太のオーバーアクションが冴えわたって嫌味に感じない。もっとやれ! もっとやれ! という気分になる。噺が危ないところに差し掛かるときわどいところでさらりとかわし、周りの女性たちは大うけだった。
前座は弟子の昇也、若い割には落ち着いた話しぶりでテンポよくまとめていた。 開演の時間になり、軽やかな足取りで跳ねるように出てきたのは普段着の昇太だった。立ったまま漫談風の噺を15分ほどやってから前座へと進行した。少し変わった入り方だった。
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