平日の午後2時だが客席はいっぱい入っていた。さすが三三だ。
開口一番は春風亭朝之助。春風亭一朝門下の二つ目だ。噺は「明烏」。わかりやすい話だがそれだけに難しい。あらすじを話すだけで面白いので何度も聞いたことがある客には飽きられる。
二つ目になって10年目の朝之助は来年真打昇進が決まっているという。落語を語るテクニックは十分にあるが、客を惹きつけるプラスアルファが足りないようだ。
真打になって14年目の春風亭伝枝は若手とはいえない。中堅の落語家である。瀧川鯉昇門下で二つ目まで瀧川鯉之助を名乗っていたのに、真打になって春風亭にしてしまった。噺を聴かせる技術も華やかさも持ち合わせている。
演目は「蛙茶番」。素人歌舞伎の舞台番という地味な役割をわり振られた建具屋の半次は嫌気がさして出てこない。呼びに来た丁稚の定吉の口車に乗って出てきたが、本番の舞台でとんでもないことが起こる。これには笑った。
トリはお目当ての柳家三三。噺は「三方一両損」。おなじみの大岡噺である。
相変わらず上手いが、噺がおなじみ過ぎて物足りなかった。普段やらないような変わった噺か、いっそ重い噺を期待していたのだが。
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