開口一番の桃月庵ぼんぼりは前座になって3年目の若手。演題は前座噺の定番「子ほめ」。初めは600〜700人の観客に呑まれているようだったが、噺が進むうちに落ち着いてきた。規定の15分できっちり話し終えた。
今日のお目当て、桂二葉は軽妙なまくらから大ネタ「子別れ」にはいっていった。今日の演題は「子は鎹」。上方ではその題名で通っているのだろう。 上下に分かれている長い噺だ。大工の熊さんが女房と別れて遊女と一緒になるまでの(上)をさらっと済まし、子供が出てくる(下)にはいった。
何といっても子供が上手い。そのまましゃべれば子供の雰囲気になってしまう。
鰻屋の2階で女房と熊さんがよりを戻すシーンはさらっと済まし、子供のシーンを多くすることでじめついた話をクールに語る。聴いている観客もその方が楽だ。
仲入りの後は、林家木久扇のあと笑点入りが確実といわれている蝶花楼桃花。出し物は新作の「表彰状」。
これは印象が薄く何の話をしたのか思い出せない。噺の後、南京玉すだれをしたのは覚えているのだが。
トリは三遊亭萬橘の「大工調べ」。大工の棟梁が弟子が家賃のかたに持って行かれた道具箱を取り戻しに行く話である。取り上げた大家にも一理ある。ただ仕事をすれば家賃は払えるといっても承知しない。
初めは下手に出ていた棟梁もだんだんイライラしてくる。最後には大家にものすごい早口で啖呵を切る。この啖呵が聞きどころだ。
萬橘は聞き取れないほどの早口で啖呵を切る。これには観客もびっくりだ。区切りのいいところで自然に拍手が起こった。萬橘、絶好調だった。
ところで本会の副題「美女と萬橘」は出演者たちには不評だった。「気になる三人」なのだから、三人とも同じ価値であると思うが、二葉と桃花は「美女」のひとくくりで個性を帳消しにされ、萬橘は野獣扱いされた。誰でも「美女と」がくれば「野獣」と受けたくなるだろう。しかも「美女」はセクハラにつながる。二葉さんがまくらで言っていたように、主催者側の無神経なおじさんが2分くらいで考えだした副題だったのだろう。
|