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扇辰日和 in とうわ

東和地域学習センターで半年に一度の「扇辰日和」はここ数年で恒例になった。半年に一度、夏と冬にやっている。

前回「扇辰日和」に来たのは2022年12月だったから、2023年の夏の分は見逃したことになる。この会はアットホームな雰囲気なので出来る限り見逃したくない。

今日は朝から雨風が強い日だったので、客の入りはどうかな、と思ったのは杞憂で40分前に会場に到着したら既に10人前後の先客が開場を待っていた。結局用意されていた椅子は満席で、全員出席となった。

開口一番はお決まりの辰ぢろ。出し物は「真田小僧」。2022年の夏にやった時よりだいぶうまくなっていた。ただ表情が硬い。もう少しオーバーアクション気味にやれば二つ目も近いのではないか。

入船亭扇辰師匠の噺は「天災」。親を親とも思わない乱暴者の八五郎に横丁に住む紅羅坊奈丸(べにらぼう なまる)という心学の先生が講義する。感心した八五郎は長屋の熊五郎の夫婦喧嘩を仲裁しようとするが・・・。

扇辰日和 in とうわ のぼり旗

扇辰はここぞとばかりのオーバーアクションで八五郎を演じる。おかげで前列に座っていた筆者はタジタジとなったが・・・。

扇辰日和 in とうわ 演目

15分間の仲入りの後、扇辰は豆腐屋の話から入っていった。これは「甲府ぃ」かな、と思ったら、そういう雰囲気にならない。長屋に住む浪人が冬に豆腐を買って冷のまま食っている。いかにも寒そうだ。何日も豆腐を買って冷のまま食う。出世払いということで金は払わない。さて・・・。

どうやら初めて聞く噺のようだ。

これは江戸時代の儒学者・荻生徂徠の浪人時代の話で「徂徠豆腐」という噺。これが本当の話かどうかはわからないが、徂徠は当初は貧しく食事にも不自由していたのは事実のようである。のちに将軍・綱吉側近で幕府側用人・柳沢保明に抜擢され、出世したのも事実である。

江戸時代の学者・荻生徂徠の逼迫時代を陰で支えていたのが近所に住む豆腐屋であった、という美談を聴いて心が温かくなった。扇辰師匠、会場の予定時刻を20分間超える熱演であった。

 

(演目)
   ・真田小僧----- 入船亭辰ぢろ
   ・天災----- 入船亭扇辰
   ・仲入り
   ・徂徠豆腐----- 入船亭扇辰

                   
(時・場所)
 ・2024年1月21日(日)
 ・13:30〜15:20
 ・東和地域学習センター レクリエーションホール


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