桂夏丸は桂米丸の弟子・桂幸丸の弟子、つまり米丸の孫弟子になる。米丸は筆者の子供時代が全盛期の落語家だった。古典はやらず、新作専門の落語家だった。
趣味が大相撲観戦、昭和歌謡・演歌、日活青春映画、京都、ネコ、アロマテラピー、お香、俳句となんとなく団塊の世代っぽい夏丸は今年まだ39才と若い。俳人としても評価が高く、高校在学中「上毛ジュニア俳壇」にて最優秀賞、「上毛ジュニア文学賞特別賞」などを受賞している。
今日は昭和のCMソングを主題にして30分の噺をした。父親が根付作家、母親が声楽家という家に生まれただけあって歌が上手い。彼が歌う昭和のCMソングは、そのまま昭和歌謡の世界だった。
TWOというのは前座時代からの同期である萬橘と夏丸のユニット名のようだ。同時期に結成された落語家のユニットTENに対抗して作ったらしいが、TENに比べてあまり世に知られていない。
萬橘は昨日独演会のトリで「文七元結」をやったところ、途中でセリフが出なくなってしまったという失敗談をまくらに、落ち込んだ気持ちを引きずりながら「松竹梅」に入っていった。 結婚式に招かれた長屋の三人組はご祝儀に余興をやろうと思い、ご隠居に相談に行く。教えられたのはめでたい謡だが、果たしてうまくできるのかどうか・・・。
仲入り後の萬橘は「開帳の雪隠」という噺。駄菓子屋の夫婦がトイレを借りにくる客が多いのを当てこんで、貸しトイレ屋を始める。初めは行列ができるほど繁盛したが、そのうちに近所に同業者ができて客が来なくなった。さて・・・。
トリは夏丸で「阿武松」。能登のから相撲取りを目指し江戸へ出てきた長吉。武隈文右衛門の弟子になり小車という名前をもらって新弟子になるが飯を食いすぎてクビになってしまう。国に帰る途中、板橋の宿の旅籠の亭主から錣山喜平次という親方を紹介してもらい、再度関取を目指すことになる。
さて・・・。のちの横綱阿武松緑之助の出世物語。趣味が大相撲観戦という桂夏丸の得意な噺。噺の後、大刀持ちの萬橘を従えて、みごとな土俵入りを披露してくれた。
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