神田連雀亭のワンコイン寄席は毎日やっている。料金はワンコインの500円である。
二つ目の噺家さん講釈師さんたちが出演して昼時の1時間、ミニ寄席を楽しませてくれる。1時間で3人出るからひとり当たりの持ち時間は約20分である。 満員でも38席しかないからひとり当たりのギャラはその日の交通費程度だろう。
それでも顔と名前を覚えてもらって、自分の会にでも来てもらったら良いのだろう。
今日は朝から雨と風がひどいため客の入りは悪いだろう、と思いながら開場の10分前に来てみたらすでに3人の落語ファンが並んでいた。開演間際に会場を眺めたら12、3人程度の入りであった。
田辺いちかは講釈師である。今日の読み物は「三方目出鯛」。下男の七蔵は主人の使いで「松下陸奥守」の屋敷に向かうはずが、間違えて「松平陸奥守」の屋敷へ行ってしまう。松下陸奥守が500石程度の御家人であるのに対して松平陸奥守は64万石の大大名である。格が違う。下男の間違いでとんだ騒ぎになるところが松平陸奥守の配慮で美談になるという一席。
いちかは軽い世間話からあっという間に本題に入っていき、客の心を江戸時代に連れて行った。二つ目になって4年目だが、客を引き込む力は並ではない。
滝川鯉丸は二つ目になって8年目の噺家。今日の演目「五人男」は古今亭今輔師匠の新作落語である。町内の者たちが余興で芝居をやろうというが何をやるかなかなか決まらない。そのうちに「白浪五人男」をやろうということになり、稽古をはじめるのだが・・・。
鯉丸は手慣れた話術で古典落語のような新作落語の世界に観客を引き回してくれた。
春風亭きいちは一之輔の一番弟子。「狸の鯉」は子供達にいじめられていた子狸が助けてくれた者のところに礼を言いに来る。
それなら兄貴のところに祝い物を届けたいから鯉に化けてくれという。狸は鯉に化け、届けられるが先方は宴会の最中。すぐさばいて洗いにしてくれと言われる。驚いた狸は・・・。
狸の恩返しは「狸賽」「狸の札」などあるが、いずれも助けてもらったたぬきがなにかに化けてお礼をしようとするが・・・、という話になっている。
きいちは二つ目になって4年目である。残念ながら前の二人ほど話術はできていない。一生懸命にやればやるほど素人っぽさが出てしまう。
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