2020年に二つ目に昇進した同期の噺家さんたちによる落語会である。
二つ目になって三年目であるがそれぞれ経歴が違うため年齢はさまざまである。
まずは昔昔亭昇で「死ぬなら今」。新作落語である。大店の旦那が息子を呼んで自分の死後について遺言をする。なにやら古典落語の「片棒」のような出だしであるが、そのあとが違う。
昇は終始明るく調子が良い。話の流れに心地よく身を任せることができる。
次は三遊亭花金による「猫久」。猫のようにおとなしいので「猫久」といわれている八百屋の久六が、ある日血相を変えて刀を持って飛び出していった。それを見ていた熊さんは女房にその話をする。
出ていった久六はその後、話の中に登場しない。熊さんと女房の話になる。この辺が落語なではの展開だ。この噺を花金はしんねりと語る。どちらといえばハチャメチャな噺なので急速調でやれば乗って行けたと思う。
仲入り後は林家彦三で「鮫講釈」。風が止んで海に出た船が立ち往生してしまう。周りにはサメの群れが集まってくる。このままでは船底を食い破られてしまう。船客は相談して誰かに犠牲になってもらいサメに喰われてもらおう、ということになる。
彦三は堂々とした口調で語るが、メリハリがない。右往左往する船客と犠牲になろうとする講釈師の堂々とした態度の対比をもっと際立たせれば面白くなったろう。
トリは三遊亭ぐんまの「浮世床」である。
髪結床に集まった暇な連中が思い思いの話をしている。さまざまな話が出た後、うたた寝をしていた八ツァんが年増にモテた話をし始める。
ぐんまはわいわい話をする若者たちの生態をうまく表現する。良い調子のままオチまで流れ込んだ。
噺が終わってまわりを見ると、約20人の観客のほとんどが若い女性であった。男は筆者を含めて3人であった。
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