ギター×2、ベース、ドラムス、パーカッション、キーボード、アルトサックス、ブラスセクション(トランペット×2、トロンボーン、テナーサックス、アルトサックス)、男性コーラスグループ(4名)、合計16名のビッグバンドが演奏する中をフランキー・ヴァリは登場し、何の気負いもなく歌い始めた。
PAの調整がフィットせずボーカルがよく聞き取れなかったがかまわず歌う。2,3曲歌っているうちに徐々にフィットし始めた。独特のハイトーンの歌声が響いてくる。声に表情がある。
1934年生まれだから今年80才になる。声は昔と変わらない。さすがに体の動きは軽やかというのは無理である。代わりに4人のコーラスグループが軽やかに踊る。
1時間たちそろそろ休憩かなと思ったが下がる気配がない。淡々と歌い続ける。本人は淡々と歌っているのだが観客はヒートアップする一方である。声に表情がある。時には低音で、時には強力なファルセットボイスで歌い続ける。
1時間半たったころこれは最後まで歌い続けるんだな、と思った。往年のヒット曲「君の瞳に恋してる」とか「シェリー」を歌ったときは観客のノリはピークに達していた。
終わったのは8時50分、1時間50分とぎれることなく歌い続けた。観客は私も含めてみな満足しアンコールを要求する気配もなかった。プロの仕事というのはこういうものか、と思った。
手を抜かない。観客を楽しませることを第一に考える。疲れの表情はみじんも見せない。
フランキー・ヴァリは軽やかな表情で颯爽と舞台をおりていった。
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