開口一番の三遊亭楽太は三遊亭円楽の最後の弟子であった。2022年9月に円楽が亡くなった後、萬橘の弟子になった。今日の噺は「寄合酒」である。例によって長屋の連中がワイワイやっている。みんなで酒を飲もう。ただし、ひとり一品ずつつまみを持ってくること。
ひとりずつ何を持ってきたかを発表する。なんとみんな横丁の乾物屋をごまかしてタダで持ってきたもの。さて・・・。
20才の楽太は17才で円楽に弟子入りして3年目、そろそろ二つ目に昇進か。
三遊亭萬橘、最初の噺は「二十四孝」。八五郎が大家さんのところへ借金をしにいく。八五郎の態度が悪いので、それなりの礼儀を教える。そのうちに母親の悪口を言い始めたので、たしなめるためにもろこし(中国)に伝わる二十四孝の話をする。いずれも親に孝行をする話である。
感心した八五郎は早速母親に孝行をするために家に帰る。さてそのあとは・・・。
普通、大家さんが二十四孝の話を始めると、説教くさくなるのだが、萬橘では話をすればするほどハチャメチャになっていく。家に帰って母親に孝行しようとすればするほどハチャメチャ度は増していく。萬橘真骨頂になっていく。
トリの「三枚起請」は調べてみたら2016年に柳家三三で聴いていた。
花魁から起請文をもらって、モテたつもりでいる男が棟梁のところへ行く。棟梁に自慢すると、棟梁もまた同じ花魁から起請文をもらっていた。もうひとり起請文をもらっていた男がいて、三人で花魁に仕返しをしに出かける。さて・・・。
この噺は語り手が違うと噺はまるで違う趣になる。三三の噺ではだまされた悔しさが主体になるのに対して、萬橘の噺はだました女のたくましさが主体になっている。その裏側で、だまされた男たちの間抜けさが滑稽味を帯びている。
萬橘は日常生活のあらゆるところから滑稽味を探り出す。特別なセンサーを持っているようである。
|