演奏会はモーツァルトの「魔笛」から始まった。お馴染みの曲が始まる。指揮者の汐澤先生はだいぶ体が弱られたようだ。指揮台の上には椅子が用意されている。曲が始まってしばらくすると椅子に腰掛けて指揮をする。
スメタナの「モルダウ」もお馴染みの曲だ。雄大なモルダウの流れを弦楽器が優雅に表現する。
休憩の後はシューマンの交響曲第4番である。演奏される頻度は少ない曲だが、久しぶりに聴くとなかなか良い。何度も繰り返される力強く鼓舞するようなメロディが耳に馴染んで心地よい。合間に優雅なメロディをはさんで何度も何度も繰り返される。汐澤先生は上半身を大きく使って優雅に指揮する。
シューマンはピアノ協奏曲がよく演奏されるが、交響曲も捨てたものではない。特にこの交響曲はわれわれのこころを鼓舞してくれる。
通常そうなのかどうかはわからないが4楽章を続けて演奏した。途中あれっと思ったが曲想が大きく変わるので楽章の合間をあかさずに演奏しているのだな、とわかった。35分ほどの短い交響曲なので、その方が集中を途切らせずに聴けるので良いと思った。
アンコールは「エニグマ変奏曲」より「ニムロッド」。最近演奏会でアンコールによく聴く曲なので始まった途端にわかった。優雅で耳に心地よい曲である。
「ニムロッド」の余韻と共に外に出ると、空は雨模様。いつ降ってくるかわからない様子である。ホールから出ると道路を隔てて、書麓高田書店がある。ここは寄ると必ず買いたい本がある古書店である。今日は寄らずに帰路を急ぐことにする。
|