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新春特選落語会

朝から雨模様。会場に着く頃には本降りになった。会場内は大入満員。さすが笑点出演一年目の桂宮治が出演する会である。

開口一番は桂歌助の唯一の弟子、桂れん児。プロフィールが出ていないのでわからないが、結構若い。噺は八五郎と先生の会話でつなげていく「やかん」。どこまでもつなげることができるが、どこでも終わることができる噺である。適当なところで切ればおもしろかったが、つなげ過ぎで少し飽きた。

次はナイツ。出てきた途端、スターの雰囲気を感じた。ナイツはスターである。おもしろかったが少しつなぎすぎた感じ。止めどころが肝心である。もう少しやって欲しいというところで止めるのが余韻が残って良い。全部やってしまうと、満腹になってしまう。満腹は飽きにつながる。

前半のトリは三遊亭萬橘。まくらから全力疾走してその勢いのまま噺にはいった。演目は「時そば」。細かいところに独自の工夫があり、いい加減で投げやりなポーズを取りながら実は繊細という、隠れたインテリ萬橘の世界である。

膝前は音曲の桂小すみ。色ものというより、素晴らしい芸の世界を観せてくれた。三味線にこれほどの音色の変化があるとは思わなかった。

トリは桂宮治。萬橘より年上だが真打になって一年目の宮治がトリを取るとは思わなかったが、笑点人気は根強いものがある。まくらはお約束の笑点ネタ。やるんじゃないかなと思っていたのをやられると興醒めだ。天衣無縫の宮治は姿を消した。

噺は「片棒」。爆笑ネタだがなんとなく重い。無理やり笑わそうとする意識が見られる。余分な力を抜いてバットを軽く振る方が、ボールはよく飛ぶものだ。滑稽噺も軽く演る方が客は心おきなく笑えるものだ。笑点メンバーに選ばれてからの宮治は力みかえって無理やりバットを振っているように見える。背中に天使の羽をつけたバレリーナの格好で登場した宮治はもういない。

 

(演目)
   ・やかん----- 桂れん児
   ・漫才----- ナイツ
   ・時そば----- 三遊亭萬橘
   ・仲入り
   ・音曲----- 桂小すみ
   ・片棒----- 桂宮治

                   
(時・場所)
 ・2023年1月14日(土)
 ・14:00〜16:25
 ・サンパール荒川・大ホール


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