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女三人寄れば

会場の本所地域プラザは都営浅草線蔵前駅から隅田川沿いを少し歩き、厩橋を渡ってすぐのところにある。途中佃煮の店などがあり、下町の雰囲気を漂わせた街である。雨がポツポツ降る中を10分ほど歩いた。

前座の鈴々舎美馬(みーま) は桜美林大学の落研出身。2018年2月、十代目鈴々舎馬風に入門。今年4年目である。前座だから「子ほめ」か「二人旅」あたりかなと思ったら、演目は「金明竹」。しっかりした噺をやるんだと思いながら聴いていたら、内容もしっかりしている。将来有望な前座さんである。

トリを取るかと思われた柳亭こみちが一番初めに出てきた。「女三人寄れば」の会は若手女流をトリに置き、自分は傍でサポートする企画だそうだ。

噺は「妻の酒」。飲助の夫が女房に飲ませて普段の逆を取ろうとしたが、女房の方がうわ手で・・・。という噺。こみち師匠は余裕を持って滑稽に女房役を演じた。

三遊亭粋歌あらため弁財亭和泉は「匿名主婦 只野人子」、得意の新作である。インフルエンサーとして活躍する只野人子に弟子入りしたいという主婦。一瞬驚く人子だが、次第に調子を取り戻し、人生の極意を説き始める。あっと驚く発想で日常のマンネリを破壊してみせる。感心する主婦。この噺を作り上げた弁財亭和泉の発想力に感心した。

仲入り後、三人のトークのあとはトリは一龍斎貞鏡。来年の10月に待望の真打昇進が決まっているとのこと。今日の読み物は「赤穂義士銘々伝〜赤垣源蔵 徳利の別れ」。そういえば明日は12月14日、赤穂義士討ち入りの日である。夏はお化け、冬は義士で飯を食い。講釈師の稼ぎ時である。

赤垣源蔵が別れの挨拶に出向いたところ、兄は留守。明日は討ち入りの日、またの日はない。兄の羽織と差し向かいで盃を交わす弟。一龍斎貞鏡の朗々とした発声で聴くと、自然に姿勢が改まる。日本人は未来永劫、12月になるとこの話を聴いて涙することになっている。

会の最中、さらに雨が降ったらしく、道路は濡れていたが夕方の空は晴れていた。

 

(演目)
   ・金明竹----- 鈴々舎美馬
   ・妻の酒----- 柳亭こみち
   ・匿名主婦 只野人子----- 弁財亭和泉
   ・仲入り
   ・トーク----- こみち、和泉、貞鏡
   ・義士銘々伝〜赤垣源蔵 徳利の別れ----- 一龍斎貞鏡

                   
(時・場所)
 ・2022年12月13日(火)
 ・14:00〜16:15
 ・本所地域プラザ・多目的ホール


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