ゾルキー(ロシア語: Зоркий)はソビエト連邦において1948年から1978年まで生産されたカメラシリーズの名称であり、「鋭い視線」という意味である。プログラムの日本語以外の表記は英語ではなく、ロシア語であった。団員の中に熱烈なロシアファンがいるらしい。
筆者もロシア音楽、特にチャイコフスキーのファンであり、ロシア文学ではドストエフスキーの熱烈なファンである。帝政時代のロシアは文化の都であった。
本日の出し物はラフマニノフである。交響詩「死の島」と交響曲第2番ホ短調という重厚な選曲である。間に挟まるのはチャイコフスキーの幻想序曲「テンペスト」。これまた重厚な曲である。
本日のコンサートは今年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻という、世界に暗い影を投げかけた暴挙を意識した選曲になっている。
交響詩「死の島」は題名が示すように重厚で暗い曲である。最後列に横に並んだコントラバスの、通常とは違う配置が効果をあげている。
幻想序曲「テンペスト」も「死の島」の後編かと思わせる曲想で重苦しい展開になった。いつもの明るいチャイコフスキーとは真逆の重厚な曲であった。
ラフマニノフの交響曲第2番ホ短調は1時間を超える大作である。ロシアの大草原を吹き渡る風のような悠々とした曲であった。ロシアの大地に平和が蘇るように、という主催者の願いがこもっているように感じた。
ミューザ川崎シンフォニーホールは独特のらせん系の構造をしている。360度を占める席の配置も微妙にうねっていて、生き物を連想させる。筆者の席はオーケストラを斜め上方から俯瞰する位置であった。団員のそれぞれが楽器を演奏する様子をはっきり見ることができた。
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