ダヴィド・フンク「組曲ニ長調」はチェロ9台による合奏であった。これは音が合いにくく難しい曲であった。
トロンボーン四重奏による「ゴスペル・タイム」等の演奏は本演奏会の中で楽しいシーンになるはずであったし、メンバーもそのつもりであったろう。残念なことにトロンボーンの演奏がクラシック畑の演奏者によるものだったために譜面通りの演奏に終始してしまった。
シューベルトの「ます」は前半のハイライトであった。ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、プラスピアノによる一糸乱れぬ演奏はこれぞ小編成のクラシック音楽と言えるものであった。
後半トップの木管三重奏はオーボエ2本とファゴット1本による緊張感のある素晴らしい演奏であった。わずかでも外したら台無しになるような演奏を15分以上も続けた演奏者たちの緊張は大変なものだったろう。
ヒンデミットのホルン四重奏はホルンという楽器の難しさを感じた。片手をホーンの中に入れての演奏は微妙なものがあるだろう。音もトロンボーン同様、明確な音が出にくい楽器ということもあるし。
締めはチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」第一楽章で、最後にふさわしい華やかな演奏であった。ドレミファソラシド〜と鳴らすだけで名曲になってしまうのは、さすが稀代のメロディメーカーである。
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