平井公園の真向かいに橘家圓蔵の自宅を改造したひらい圓蔵亭がある。現在は橘家圓蔵資料館として江戸川区が管理している。ここで定期的に落語会をやっている。
今回は「真打を目指す気鋭の若手落語家による落語会」と称する柳家あお馬の落語会だ。
柳家あお馬は「真打を目指す気鋭の若手落語家」と言うにふさわしい落語家である。先日巣鴨の巣ごもり寄席で聴いた「居残り左平次」は素晴らしかった。このひとは真打ではないかと思ったほどだ。
本日の出し物は「強情灸」「鈴ヶ森」「野ざらし」と滑稽もの3題である。
同じ滑稽ものでもそれぞれ肌合いが違う。「強情灸」は江戸っ子の意地っ張りをまな板に乗せたもの、「鈴ヶ森」はシチュエーション・コメディもの、「野ざらし」は人情ものが突然スラップスティックものに場面転換する落語独特のコメディである。
あお馬はこの3題の噺を見事に語り分けた。
彼の特徴は「強情灸」や「野ざらし」に見られるような畳み掛ける語り口である。「鈴ヶ森」のようなボーッとしたとぼけたような口調は苦手なのではないか。彼の「長短」を聴いてみたい。
今日はコロナ禍の真夏日、のせいかどうかわからないが、客は8人であった。もっとたくさん笑いたかったが、この人数では大声で笑えない。
一度、大ホールで柳家あお馬を聴いてみたい。
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