ショスタコーヴィチの「ロシアとキルギスの主題による序曲」は時代劇のテーマ曲のような重厚な曲であった。8分間の短い曲だったが、曲の背景をかってに想像しながら聴いて楽しめた。
いわゆる三大ヴァイオリン協奏曲はベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスということになっているが、シベリウスも足して四大ヴァイオリン協奏曲としても良いのではないかと思う。シベリウスのヴァイオリン協奏曲もダイナミックで情熱的であり、前に挙げた三大協奏曲に決して劣るものではない。
今日の演奏は2005年生まれの田中友梨がヴァイオリンを演奏する。17才とは思えないほど堂々とした演奏であった。終了後拍手が鳴り止まず、何度も何度も出てきて挨拶をするが表情が固く、その点は17才だなあと思わせた。アンコールの曲は曲名はわからなかったが、ヴァイオリンの技術の高さを誇示するかのような鋭く複雑な曲だった。彼女は近い将来、世界で活躍するのではないだろうか。
チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」は好きな曲である。
ファゴットとコントラバスによる重厚なテーマから始まり、コントラバスのうめき声で終わる。
あいだに挟まれた第2楽章は踊るようなワルツ、第3楽章はティンパニが鼓舞するように鳴り響く。人生の苦難と快楽、高揚する精神を表現したような音楽である。
アンコールはエルガーの変奏曲「エニグマ」よりニムロッド。演奏する前に指揮者が観客に向かって、自分は両方の国に友人がいるので、この曲をロシア人とウクライナ人の鎮魂のために演奏する、と告げた。
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