去年の根木マリサの竹の塚でのコンサートは1月12日であった。ちょうど1年後の今日、無事コンサートは実施された。年明け早々コロナウィルスによる緊急事態宣言が出て、急遽中止されたコンサートが多かった。このコンサートもどうなるかな、と危ぶんでいた。
根木さんとしても1年ぶりのライブコンサートになった。中断の前後に、奇しくも同じ会場でやることになった。
久しぶりの観客を入れてのライブとあって、根木さんは最初から全力で飛ばす。「Fly Me to the Moon」はテーマこそゆったりとした入り方だったが、アドリブに入ってからは縦横無尽に弾きまくった。
今回はヴォーカルのマックギルバートは出場しない。コロナの影響で自粛したのか。
前半の終わり近くで、ベット・ミドラーが映画「ローズ」(1979年11月公開)のなかで歌った曲「The Rose」をピアノ・ソロで演奏した。曲はポツリ、ポツリと囁くように始まった。テーマを繰り返すごとに徐々にピアノのタッチが激しくなってゆき、絶唱するように終わった。まるで「ボレロ」を聴いているようだった。
後半の「Summertime」はマックギルバートがいれば彼の見せ場になったはずの曲だが今日はいない。根木さんはピアノ・トリオで見せ場を作った。導入はベース・ソロという意外な展開、力強く、野太いベースの音が延々と続く。そこにピアノが割り込んでいき、奔放なアドリブとなる。最後にドラムスに引き渡し、十分に展開した後、テーマに戻ってオーソドックスに曲を閉じた。
アンコールはデューク・エリントンの名曲「Take the A Train」。初めから終わりまでスピードを緩めることなく、根木マリサ・トリオは走り切った。
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