春風亭一之輔 YouTube ライブ : 膝代り(色物)   |
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春風亭一之輔10日間連続落語生生配信第2幕が5月21日から始まった。前回は上野・鈴本演芸場の4月下席の枠であったが、今回は浅草演芸ホール5月下席の枠である。 収録場所は神保町のらくごカフェ。満員で50席のアットホームな会場である。 今回はお囃子さんと膝代り付きの豪華な舞台となった。寄席ではトリの前に出演する膝代りは色物芸人がつとめることになっている。 前回の10日間では一之輔の落語を集中して聴いたので少し重かった。今回は普段なかなかお目にかからない色物芸人たちの芸を観ることにする。 第一夜、【林家正楽:紙切り】 軽い話をしながら、体で調子をとってあっという間に一枚の紙から絵を切り出してしまう。見事なものだ。今日は市川團十郎が扮した武蔵坊弁慶の飛び六法である。弁慶が飛び六方で花道を勢いよく入って行くありさまが目に浮かぶようである。 第二夜、【江戸家小猫:動物ものまね】 江戸家小猫は2代目になる。立教大学大学院卒業というインテリの後継ぎである。芸は先代、先先代より上という噂である。御家芸のウグイスやカエルは見事なものである。タスマニア・デビル、ヌー、アルパカをやったが、鳴き声を知っている人はいるんだろうか。勉強家で全国の動物園で小猫が行っていないところはないということである。 第三夜、【柳家小菊:粋曲】 色物にはぴったりの粋曲。三味線に都々逸の後にする噺は気持ちがいいだろう。小菊姉さんは早稲田大学文学部出身の曲師である。最後は大津絵から明神の祭礼で締めた。 第四夜、【三増紋之助:江戸曲ごま】 オリャ〜、オリャ〜、何だこの勢いは! 失敗しても、めげないで、オリャ〜、オリャ〜!! 元気になったぞー。 第五夜、【アサダニ世:奇術】 不思議なような、そうでないような、ほのぼのした芸である。トリの前の緊張感をほぐすにはもってこいのほのぼのした奇術であった。 第六夜、【ロケット団:漫才】 放送コードギリギリのところを快調なテンポでしゃべる。2ヶ月ぶりの仕事だという。この時期、芸人さんは皆大変だ。 第七夜、【のだゆき:音楽パフォーマンス】 なんだこりゃ。普通の茶碗を吹いて「お茶リナ」。メロディオンを頭で弾いて「上を向いて歩こう」。ソプラノとアルトのリコーダーを同時に吹いて「世界にひとつだけの花」。阿波踊りのメロディを吹きながら退場。おみごと。 第八夜、【林家二楽:紙切り】 リクエストに応じて次から次へと紙を切る。「スカイツリー」「アマビエ」「バルタン星人」「三社祭」。おみごと。息子の八楽が「パンダ」。これまた、おみごと。 第九夜、【立花家橘之助:浮世節】 2017年に三遊亭小円歌から襲名した。小円歌の時に寄席で聴いたことがある。文楽、志ん生、小さん、志ん朝の出囃子を三味線で演奏した後、「両国風景」という唄。三味線と唄がだんだん急速になっていくのが迫力満点であった。 第十夜、【鏡味仙三郎社中:太神楽曲芸】 太神楽は寄席ならではの芸である。毎度おなじみの出し物だが観るたびに拍手したくなる。見事な芸だ。 10人の色とりどりの色物芸人さん達を観ることができた。コロナ騒動の中で良いことがあったとすればこの企画が一番だった。 |
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