3連休の最終日、巣鴨の地蔵通り商店街は普段の休日より3割増の人が出ていた。皆ゆっくりと歩きながら商店の品々を見ている。食品、洋服、カバン、いろいろなものを売っている。
目的のスタジオフォーは商店街を最後まで行って突き当たりを曲がったところにあるので人通りがほとんどない。30分前に着いたが、すでに20人くらいの人が席についていた。空気に今日の演者への期待感が満ちていた。
時間通りに始まった。初めは今日の演者、柳亭こみちと神田鯉栄の「トーク」。30分のトークはまくらにとっておきたいほど面白い。ふたりは面白い話題を惜しげもなく披露する。
ジャンケンをして開口一番とトリはこみち、仲入り前後は鯉栄となった。
こみちは「洒落のお清」という軽い噺をした。「庭蟹」という題名でも語られる噺である。
続いて鯉栄の「寛永三馬術 梅花の誉」。徳川家光の前で愛宕神社の186段の石段を馬で登ろうという噺である。3人の馬術の名人が失敗した後、曲垣平九郎が挑戦する。
張り扇の音も高く、調子の良い話で聴いていていい気持ちになる。曲垣平九郎がヨレヨレの馬でどのように石段を登るか。登りきった後は胸がスカッとする。
仲入り後は再び鯉栄で、演目は三遊亭白鳥の名作「任侠流山動物園」。この話は白鳥以外の落語家もやるが、浪曲師の玉川太福も持ちネタにしている。講談で聴くのは今日初めてだが講談が一番合っているのではないかと思った。涙あり、笑いありの名作である。
トリはこみちの「愛宕山」。古典落語の名作である。こみちはお大尽、芸者、太鼓持ちの三者三様の性格を見事に演じ分けた。爆笑に次ぐ爆笑であった。
そろそろ人が減り始めた地蔵通り商店街を温かくなった気持ちで歩いた。
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