”ふなっしー”のかっこうで会場の後ろ扉から奇声を上げて登場したのには驚いた。
東京タワーの塗り替えが終わってずいぶんきれいになったという話をまくらに美人局と強飯の関係へと話は飛び、おもむろに”居残り佐平次”の居酒屋のシーンへと入っていった。それから佐平次の威勢のよい独白が1時間、とぎれることなく続くのである。まくらも含めて1時間15分立て板に水のごとくしゃべり通した。 この声とこの口調はもって生まれたものだろう。実に耳に心地よい。めったにやらない噺で死ぬまでにあと20〜30回できればいいだろう。60才くらいになったら完成したい。と言っていたがあれだけの長い噺を一度もかむことなくやり通した芸は一流のものである。
”おかめ団子”は典型的な人情噺である。貧しくとも親孝行な息子が最後には幸せをつかむという絵に書いたような話だがたい平の心地よい声と口調で抵抗なく素直に胸に届く。
武蔵野美術大学出身、12月6日に49歳になったという。名人に向かってまっしぐらに進んでいる。
ちなみに舞台のたい平は笑点の時の顔をしていない。いなせな職人風の顔をしている。
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