チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」は元々きらびやかな曲だが原田莉奈の演奏によって勢いと迫力が加わった。
少々のミスタッチなど気にせず、とにかく勢いと迫力を重視する彼女の思いが観客にストレートに伝わってきた。
演奏が終わった時のブラボーの歓声と大拍手は彼女の思いに対する観客のお返しの気持ちだったろう。
アンコールの「ラ・カンパネラ」はお馴染みの曲だが何か違う。独自の節回しか、それとも独自のタッチかわからないが、凄いテクニックが使われていることだけはわかった。お馴染みの曲に独自の味付けをしていてそれが妙に心に残る曲になっていた。
ベートーヴェンの「交響曲第7番」もお馴染みの曲のはずだが、メリハリがすごく効いていて、ところどころ初めて聴くような感じを受けた。指揮者は曲のテンポを少し遅くすることによって、もともと曲に含まれていたが気がつきにくかった曲想を観客に提示したのである。
第4楽章で指揮者は唸りに唸るコントラバスのリズムに乗って悪魔の踊りを踊っているように見えた。
アンコールはドヴォルザークの「ユーモレスク」。小林は4分30秒の曲の中でひとが生まれてから死ぬまでを表現して見せた。
聴きどころの多いコンサートであった。三々五々、駅に向かう人たちは皆満足していたに違いない。
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