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江戸川落語会

柳家まめ緑は柳家花緑の6番弟子で女性である。

落語の登場人物は大家さんだの八つぁんだの熊さんだの与太郎だの癖のある男ばかりだ。 女性の登場人物にしても厩火事のおさきさんだの火焔太鼓の女房だのがいるが男が演ずるから女性独特のかわいさや浅はかさが強調されるという面がある。 したがって女性の落語家はハンディを背負ってスタートしなければならない。

女性がおさきさんをどういう風に表現するかという興味もある。女性の落語家で誰か厩火事をやってくれないものか。

柳家小せんは大舞台でも飄々としている。
柳家小せんは噺の選び方が独特だ。

今日の”紋三郎稲荷”がそうだ。あまりメジャーな噺ではない。笑いがとれる噺でもない。噺は淡々と進む。 落ちも上品だ。どーんと落ちるでもなく、大笑いで落ちるでもない。小せん独特の世界はもうでき上がっている。

その世界に入れる人はゆっくりと浸りきることで小せんの世界を楽しむことができる。

古今亭菊之丞は初めて聴く落語家だ。

調べてみたら師匠は古今亭円菊で菊志んの兄弟子にあたる。年は菊志んと同じだが大学を出た分だけ菊志んが弟弟子になる。

達者な話しぶりだ。声がいい。流れるような口調。これはもって生まれたもので噺家として得な性分だ。
”短命”は話しぶりによって笑いがとれる噺だ。菊之丞に合っている。ひいきにしたい噺家だ。

林家たい平はもう大家の貫禄だ。

”井戸の茶碗”はじっくり話せばじっくり、くすぐれを入れればそれなりに笑いを取れる噺だ。たい平の”茶碗”は大爆笑の”茶碗”だ 古典落語に現代の時事ネタを入れてくすぐるのがたい平の得意技だ。みのもんたの次男のネコババネタや猪瀬都知事の5,000万円不正授受のネタが笑わせた。それでいて最後には泣かせるのだからたい平はたいしたものだ。

トリは柳家さん喬の”芝浜”だ。

ベートーベンの第九と落語の芝浜は年末の恒例になっておりこれがないと年を越そうという気分になれない。

本日のプログラム中唯一演題を載せている。”さん喬”の芝浜といったところだろう。

じっくりしたいい話しぶりだった。笑いをとろうという気はまるでなく、ひたすらじっくりと進む。1時間弱、ロシア文学の長編を一冊読んだような気分になった。以前たい平の芝浜を聴いたときはところどころくすぐりを入れて盛りあげていたがさん喬は押し相撲のように正面からじりじりと押す。一歩も引かないという気構えに満ちている。

これを聴くと来年も夫婦二人三脚でやろうという気分になる。前の席の老人夫婦二組もそう思っていたのではないだろうか。


(演目)
・桃太郎-------柳家まめ緑
・紋三郎稲荷---柳家小せん
・短命---------古今亭菊之丞
・井戸の茶碗---林家たい平
・仲入り
・芝浜---------柳家さん喬

(時・場所)
・2013年12月16日(月)
・18:30〜21:30
・江戸川総合文化センター


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