本日の主役Jazz Concerto Orchestraは指揮者兼トランペッターの赤塚謙一率いるサキソフォン4、トランペット4、トロンボーン4、ピアノ1、ベース1、パーカッション1で編成されたビッグバンドである。
そこにソリストとしてピアノの山下洋輔、ドラムスの森山威男を入れたらどうなるか? という実験的な試みの音楽界であった。往年の山下洋輔トリオの再編成ではないところに難があったのか観客の入りは50%ほどであった。
第一部が始まると何となくいつもの山下洋輔のコンサートと違う。第一部が終了した段階ではクラシックなのかジャズなのか判然としないどっちつかずの音楽のようで戸惑いを覚えた。チラシを見ただけでそこまで判断して購入するかしないかを決めた観客の察知力の鋭さに脱帽した。
第二部は森山威男バージョンである。舞台の真ん中にはドラスムがセットされている。植木職人のような雰囲気で登場する森山威男。絵になる。
「ボレロ」と「アランフェス協奏曲」「カルミナ・ブラーナ」の3曲は第一部第二部共通の課題曲である。
「ボレロ」が始まった瞬間、観客の雰囲気が一気に引き締まるのを感じた。森山が刻むボレロの一定のリズムが的確で耳に心地よい。ただのドラマーではない。東京芸術大学の打楽器科を出ている。
永遠に続くかと思われたリズムが途中から変化する。一気にフリージャズのドラミングになる。それでもボレロのリズムは崩れない。何やらすごいテクニックを使っているらしいとしか思えないのがもどかしい。専門家なら詳しく解説してみせるだろう。
曲が終わった瞬間、今までとは質の違う歓声と拍手が轟いた。
「アランフェス協奏曲」と「カルミナ・ブラーナ」もピアノとの共演では見られなかった迫力を感じた。この編成にはドラムスが合っているのか、森山威男が凄いのか。
アンコールは全員の演奏で「サンセット・ブールバードのテーマ」と「鳥の歌」。ここでは山下洋輔と森山威男の手慣れた掛け合いが見られホッとした。
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