前座は昇太の弟子春風亭昇りん。山形のリンゴ農家の三男ということから付けられた前座名である。
演目は前座噺でおなじみの「たらちね」。横丁の八っつぁんのところへ急に来ることになった嫁の言葉遣いが丁寧すぎて伝わらずてんやわんやになる。
次は誰もがトリをとると思っていた小朝が早々に出てきた。演目は「一豊と千代」。山内一豊が出世するきっかけとなったおなじみの逸話を語る。落語的な話ではない。講談を落語化したものであろう。
笑うところもない噺だが小朝は巧みにくすぐりを入れる。亭主孝行のできた妻の教訓的な話が面白くなってしまうのは小朝の技量の優れたところである。リズムがいいのでおもわず聴き入ってしまう。
仲入り後はナイツの「漫才」だ。息の合ったコンビの絶妙の間でおもわず笑ってしまう。相方土屋の高速のきり返しが心地よい。
トリは昇太で「二番煎じ」、「禁酒番屋」と似た噺で初めはどちらかなと思った。昇太は独演会の時のキレはなく、乗りにくい感じだった。乗ろう乗ろうとしているうちにまくらが冗長になってしまい、観客のほとんどが「早く始めないかなー」という雰囲気になったところで本題が始まった。
前半のもたつきが尾を引いて昇太としてはいまいちの噺になってしまった。本来はもっと笑わしてくれるはずだが。
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